今回のアンナチュラルは法で裁けない殺人「いじめ」がテーマだった。自分を「いじめ」た相手を殺人犯にしようと自殺した生徒と、それを救えなかった生徒の悲しさを浮き彫りにした。
謎を解こうとするミコトの法医学者としての顔が真実に迫っていくにしたがって悲しい表情にかわっていく…
何ともやりきれない死因。見ているこっちも重い気持ちになっってしまった…
そして、横山君と白井君の演技がまた…素晴らしかった!
法で裁けない殺人「いじめ」とは
質問に答えて!
あなたが死んでなんになるの?(なんに?)
あなたを苦しめた人の名前を遺書に残してそれが何?
彼らはきっと転校して、名前を変えて新しい人生を生きていくの
あなたの人生を奪ったことをすっかり忘れて生きていくのあなたが命を差し出しても、貴方の痛みは、決して彼らに届かない
それでも死ぬの?あなたの人生は、貴方のものだよ
いじめが原因で自殺してようとしている人に、この言葉が届いて…一人でも自殺をやめてくれることを望む。
アンナチュラル第7話「殺人遊戯」のあらすじ
番組冒頭で「遠隔志望診断書」のガイドラインの資料を配ったばかりのUDIラボに、まさに遠隔地にある遺体を見て死因を突き止めろという問題をミコトは突きつけられた。
予備校の講師である弟を通じてミコトに会いたいといっていた予備校に通う高校生「白井君」からミコトにネットのアドレス連絡が入る。
彼は、ネット上で「殺人実況生中継」をしていた。画面に映った彼の傍らには、うつぶせになった高校生らしい遺体があった。それを見たミコトは白井に電話する。
彼は「殺人者S」として、法医学者であるミコトに問題を出す。
「Y君の死因はなんでしょう?」
答えを間違ったら「もう一人(Xくん)を殺す」と別の部屋にいると思われる人の足を映す。制限時間は(視聴者数)10万人。視聴者数に応じて4つのヒントを出していく、という。後ろにいた中堂は通話を切れというが…
「わかった、Sくん、貴方の勝負に乗った」
ミコトは「わかった、Sくん、貴方の勝負に乗った」とその挑戦を受ける。
「殺害現場はここではない」という一つ目のヒントが出された、ミコトたちは、白井が通っている学校に連絡を取った。遺体が同級生の「横山」ではないか、という。その一方で東海林と久部は血痕から殺人?現場を突き止める。
2つ目のヒントとして「M先生、背中を見せてあげる」と白井は、血のついたサバイバルナイフで遺体の服を切り裂き背中を見せる。
遺体の傷を見て。死因は、サバイバルナイフによる「刺殺」で「失血死」で決まりではないか、という久部に「いや、そんな簡単な話じゃないと思う。」と答えるミコト。
「S(白井)君は、私に何か言わせたいんだと思う。言わせたい答えがある、できるだけ多くの人の前で」と言う。
そして遺体の背中を見たミコトは「ささくれが無い綺麗な傷」と「横山君は日常的に暴力を受けていた」ことも突き止める。ここ辺りから、死因に関わる別の要素が、見えてきたのか、ミコトの顔色が険しくなる。
三つ目のヒントは「凶器はサバイバルナイフ」。ネットでこの配信を見ていた彼のクラスの生徒たちは、サバイバルナイフは小池君のもので、白井に命令し、やらせているのではないか、と騒ぎ出す。
結局、遺体のY君は同じクラスの横山君と判明、殺人事件として警察がやっと動く。
一方、ミコトたちに中堂が加わり、特殊な道具「科学捜査用ライトALS」を使って、殺人現場?となった備品室の捜査を始める。
そして、ネット配信中に白井が読んでいる小説が「凶器を隠すトリックが書いてある短編小説『ソア橋』」(4つ目のヒント)だということもわかる。同時に小池君も横山君の死亡時刻には、万引きで捕まっていたことも判明。
ソア橋=イギリスの小説家、アーサー・コナン・ドイルによる短編小説。シャーロック・ホームズシリーズの一つで、56ある短編小説のうち46番目に発表された作品 ※ウィキペディアより
そして、ミコトの頭の中では、横山君の死因にたどり着いていた。
「わかったっよ、Y君の死因が何か」
ミコトは白井に説明する。
(ミコトが説明している間、ラボの他の3人は、血痕を追い、白井の居場所を探していた。)
「Y君は、出血多量で亡くなった」「凶器は手元にあるナイフ」「腹に出た皮下出血と背中の傷がぴったり重なる」ミコトは、ぴったりすぎた傷を不自然と言う。そして横山君は(ナイフの持ち主である小池君を犯人にするために)3本の固定させたナイフに背中から倒れこんで自殺した。凶器は小説のトリックを使って消した、と、説明する。
ミコトは、死因を「刃物による自殺」だと言い切る!
「ここからは私個人の見解として話をします」
それを聞いた白井は「違う、全然違う!大外れ!」という。すかさずミコトは「ここまでが法医学的見解、ここからは私個人の見解として話をします。」といい、語り始める。
「…Y君の背中には、日常的に暴力を受けていた、たくさんの痕があった。執拗に繰り返され、治るより前に次のあざがつけられた。そんな暴力が見過ごされた。追い詰められた彼は、最悪の選択をしてしまった。
法医学的には自殺。でもあたしは、殺されたんだと思う。法律では裁けない、いじめという名の殺人(出た!名言!)あなたはそれを大勢の人に伝えたかった…」と話すミコト。
「そうだ、殺された、あいつらに、僕に…」認める白井。それまでの彼と横山君がいじめられた時の事や自殺するまでのいきさつが…流れる。
視聴者が10万を超えた。それに気づいた彼は「もう一人、殺さないと」いい、ナイフを持ち、隣の部屋に…
連れてきたのは見せかけの人形「X君」だった。それを見てミコトは白井君が自殺しようとしていることに気付く。
「これは遺書です」
白井はそれまで自分の顔にかけていたパプリカの絵を外し、顔を出した。自分の学校名や名前、いじめられていたこと、相手の3人の名前を言い「これは遺書です。これで終わり。僕は僕を殺す」と涙ながらに言い首に刃を当てる。
ミコトは…「まだ終わっていない、質問に答えて!あなたが死んでなんになるの?」と問いかける。
「なんに?」と白井が言う。
「あなたを苦しめた人の名前を遺書に残してそれが何?彼らはきっと転校して、名前を変えて新しい人生を生きていくの。あなたの人生を奪ったことをすっかり忘れて生きていく。」
「あなたが命を差し出しても、貴方の痛みは、決して彼らに届かない、それでも死ぬの?あなたの人生は…貴方のものだよ」
必死になって彼を説得するミコト。
ミコトの話を聞いた白井は、それまで首に付けていたナイフを外し、パソコンのライブを止めてしまった。
中堂が、白井を救う
そのころ、血痕を追っていたラボの3人は、取り壊し予定のマンションにたどり着く。そして、灯りのともる部屋を見つけた。中堂は窓を壊して中に入る。
驚きナイフを首に近づける白井に「落ち着け、俺たちは三澄先生の仲間だ」と言い「(ナイフを)よこせ」と手を差し出す。
白井は「横山君は死んだ」といい、
中堂は「ああ」と答える。
「僕だけが生きてていいのかな?」と言う白井。
(この言葉に、ぐっと来た!彼もまた「生存者の罪悪感」を感じて苦しんでいる一人だった。)
中堂は「死んだ奴は答えちゃくれない。この先も。許されるように、生きろ。」という。
(彼の罪悪感を共有できる中堂の言葉…効かないはずはないよな)
ここで「Lemon」の曲が流れる。
(ここからは画面がドキュメント風になる。)
中堂は、少し優しい目をしながら白井を見つめ、そっとナイフを取り上げる。
無くなったナイフの代わりに?中堂の手を握ったまま声をあげて泣く白井。
その様子をただ見つめる久部。
東海林は、横山の遺体にひざまずき、自分が着ていたラボの白衣を脱ぎ横山の遺体の背中に掛ける。
そして、背中をそっとさすっていた。
(この愛すべき優しいUCIラボのメンバーたち―の行動に、泣けた…。)
まとめ
今回は、自分を「いじめ」た同級生を殺人犯にするため自殺をした横山君に代わって、その同級生をネットで告発した白井。
彼もまた中堂やミコトが背負っている「生存者の罪悪感」を同じように背負っていた若者だった。
ミコトと中堂にしかわからない苦しみがあることを、ミコトが好きな久部はまた、思い知る…。
この脚本家は、ややもすれば同じようなことをしでかす若者が出るのではないかのか?という恐れもあえて飛び越えて、いじめられている若者たちにメッセージを送ったような気がする…。
すごいな、やっぱり。
次回は、久部のおやじが出てくる。久部の過去がわかるのか?楽しみだ。