始業時刻前の朝礼。
どこの職場でも普通に行われていることではないだろうか?…と思っていた。
自分が以前居た職場でも、始業時刻は9時だったが朝礼は8時45分から行われていた。
ところが自動車メーカーのスズキが、労働基準監督署から始業時刻前の体操や朝礼を労働時間に参入するように、是正勧告を受けていたことが明らかになった。
始業前の体操は労働時間中?
今回是正勧告を受けたのは、スズキ自動車の相良工場(静岡県牧之原市)。
同工場では、「任意」で始業前に5分間の体操を行い、始業時刻後に朝礼を行っていた。
始業後の朝礼ならば問題は無い。
始業前の体操も「任意参加」ならば問題は無い。
しかし、「体操は任意参加」ということが伝わっていなかった部署や、一部始業時刻前に朝礼を行っていた部署があったため、是正勧告となったようだ。
スズキ側はこれを受け、既に未払い分の賃金を支払ったそうだが、相良工場には1,500人余りの従業員がいる。
「5分間分の賃金×1,500人×期間?」だとすれば、一体いくらの金額になるのだろう?
結構な損害額だろう。
着替えの時間は労働時間?
これもよくある事例だと思うが、制服のある職場だと
「始業の時は、着替えてからタイムカードを打刻すること」
「終業の時は、タイムカードを打刻してから着替える事」
といわれてきた。
しかし、平成12年の最高裁の判例では、着替えの時間は使用者の指揮命令下に置かれている時間であると判断した。
つまり、着替えや仕事の準備に要する時間も、労働時間に参入すべきだとの見解を示したわけだ。
仮眠時間は労働時間?
労働時間を考える上で、長年議論され続けてきたものに「仮眠時間」がある。
深夜勤務中に仮眠時間を与えている事業所は多い。
この仮眠時間は果たして「労働時間」なのか「休憩時間」なのかという問題だ。
これも結構微妙で、例えばホテルの守衛などの場合、仮眠中でも救急車の搬送依頼があった場合には業務対応しなければならない。
となれば、使用者の指揮命令下に置かれているという認識で「労働時間」とみなすべき。
が一方、このような仮眠中の業務対応が殆ど皆無に等しいような頻度でしか発生しないと認められる場合には、仮眠時間は「休憩時間」とみなされる場合が多い。
実際、過去の判例を見ても、仮眠時間中に実業務を行った頻度が重視され、それによって「労働時間」か「休憩時間」かの判断がなされており、一概には決められないのが実情のようだ。
「労働時間の概念」というのは、かくも多種多様なものだ。
使用者と労働者の関係性によっては、「黒」が「白」とされることも珍しくない。
貴方の職場ではどうだろうか?
今一度、見直してみるべきかもしれない。