「ししとう」の中にたま~に辛いのがある。
唐辛子に似ているため、間違ってまぎれこんだのかな?と思ったりするのだが、実は…
ししとうは基本的には辛くならない植物だが、水や栄養不足など環境の変化がストレスとなり突発的に辛くなる事もある、らしい。
唐辛子ってなんで辛いの?
2月21日の「チコちゃんに叱られる!」のゲストは初登場でフジテレビと呼ばれた内田恭子(元フジテレビアナウンサー)と今回で13回目の登場となる、シティボーイズ1号こと大竹まことの二人。
「この中で、辛いものをもりもり食べる素敵な大人ってだあれ?」と聞かれ、岡村は「女性の方が辛いの好きじゃないですか?意外と」といって内田を指名する。
「唐辛子ってなんで辛いの?」と聞かれた内田「種が辛いんじゃないんでしたっけ?…辛い種からできているから辛くなる」と答えると「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と言われる。
〇チコちゃんの答え
⇒唐辛子が辛いのは遠くへ行きたかったから
「辛い」は舌に感じる「痛み」や「熱さ」
詳しく教えてくれるのは、龍谷大学(農学部)で植物の能力について研究している古本強教授。
先生は「私たちは唐辛子を辛いと感じているわけではない。『痛み』や『熱さ』の感覚を辛いと誤解しているだけ」という。
以前の放送(「なぜ辛い食べ物は病みつきになる?(2019年4月19日放送)」)で、人間が唐辛子の辛さを感じるのは、口の中にある受容体TRPV1(トリップワン)の働きによるもの、と紹介した。
TRPV1は本来、43℃以上の熱に反応し、熱さや痛みの信号を脳に送るのだが、実は辛さの原因物質「カプサイシン」にも反応してしまう。
そのため、唐辛子を食べると熱さや痛みを感じた時のように危険信号が脳に送られ人は辛いと感じている。
唐辛子の戦略とは
唐辛子にカプサイシンが含まれているのは「唐辛子の戦略」だと先生はいう。
戦略その1
TRPV1がカプサイシンに反応して出す「熱い」や「痛い」は本来、命の危険を伝えるサイン。
野生動物たちは、唐辛子を食べた時に命の危険を感じるので食べるのを避ける。
唐辛子は、カプサイシンを手にすることでTRPV1を持つ哺乳類や昆虫などに食べられないように進化した。
戦略その2
唐辛子のカプサイシンは鳥のTRPV1には反応しない。
食べ物を歯で噛み砕く哺乳類に比べ鳥は食べ物を丸呑みする。
種を守るためには丸呑みしてくれる鳥に食べられたほうが遥かにリスクが低い。
鳥に食べられたいもう一つの理由
鳥には羽が生えているので行動範囲が広い。
食べて、飛び立って、いろんな所で糞にしてまく。
植物は種を守り絶滅を防ぐためには大切なのは生息範囲を広める事。
・風に乗るように軽くなったタンポポの種
・人の服や動物の毛にくっつくイガオナモミ
…と同じように唐辛子は鳥だけに食べられることで生息範囲を広げてきた。
本当に鳥は辛さを感じず、唐辛子を食べるのか
しかし、(鳥は)本当に辛い唐辛子を食べるのか?という事で…
先生は「鶏が唐辛子を食べているところ」といって(滋賀県の養鶏場)にスタッフを案内する。
養鶏場の黄瀬さんと三原さんは、鶏の餌に与えているという「弥平唐辛子」を見せてくれた。
普通の唐辛子の2倍辛いと言われる弥平唐辛子。この唐辛子を刻んだものを手にして鶏に差し出すと、鶏たちは寄ってきて美味しそうに食べた。
なぜ唐辛子をあげようと思ったのか、と、スタッフが聞く。
「最初は辛い卵を作りたかった。結果、辛い卵にはならなかったが唐辛子を食べた鶏は丈夫になり夏バテをしなくなるという効果があった」との事。
ちなみに過去に放送された番組でオウムに唐辛子を食べさせる実験をしたところ、やはり食べていた。
同じ様にリスザルと、モルモットに唐辛子を与えたところ…
・リスザル(哺乳類)は一度口に入れたがあまりの辛さに首を振り、吐き出した。
・モルモット(哺乳類)は食べた瞬間逃げ出した。
これを見ると、鳥にだけ食べさせるという唐辛子の戦略は見事に成功している。
しかし哺乳類である我々人間は唐辛子を食べる。
これは一体どういうことなのか?
人間が唐辛子を食べるのはなぜ?
それには船乗りの影響が大きいという。
15~17世紀、世界は大航海時代を迎える。
ヨーロッパ人がアフリカ、アジア、アメリカ大陸へと次々と進出。
到達した土地からいろんな(かぼちゃ、トウモロコシ・ジャガイモ・トマト)を持ち帰った。その中の一つが唐辛子。
これが、ある理由で世界に広がる。
唐辛子は壊血病に効くと考えられていた
その当時、船乗りを悩ませていた壊血病に効くと考えられていた。
(壊血病=ビタミンC不足が原因で身体の各所から出血を伴う病気)
当時は今と比べてはるかに航海が長く(航海技術低い)新鮮な野菜や果物が常に足りていなかった。
そのためビタミンCが不足して壊血病になり、大航海時代には200万人以上の船乗りが亡くなったと言われている。
唐辛子にはビタミンCが多く含まれていてその為に長い航海には欠かせないものとして船に積まれるようになった。
アメリカ大陸で見つかった唐辛子はポルトガルの交易ルートを通ってアフリカやアジアへと伝わって世界へと広がっていった。
人間の場合は快楽物質が脳から出る
以前、この番組で、人間は辛いものを食べると命の危険を感じ、その辛い感覚を和らげようとして快楽物質を出すため病みつきになると紹介した。
この現象も手伝ってかインドでは辛くなかったカレーが辛くなり、韓国では(韓国キムチなど)山椒の味から唐辛子の辛さに変化したと言われている。
唐辛子は、そもそも人を含む哺乳類じゃなくて鳥に食べてほしくてカプサイシンを作ったが結果、人によって世の中にむしろ広がるようになってしまった。
先生は「たぶん人に病みつきにさせることをわかっていたのではないか」言う。スタッフが「唐辛子がですか?」と聞くと「それは言い過ぎですけどね」と笑う。
愛ちゃん情報
唐辛子の仲間「ししとう」。この中にたまに辛いのがある。ししとうは基本的には辛くならない植物だが、水や栄養不足など環境の変化がストレスとなり突発的に辛くなる事もある、という。
※唐辛子が広まった理由について
唐辛子に商品価値があると思い、徐々に広まっていったという説もある。