テレビとはどうやって映像を送り、どうやって、家庭のテレビに映しているのか、ちゃんと答えられますか?
…ということで、今回はテレビの話。
テレビって何で映るの?
4月9日NHK「チコちゃんにられる!」のゲストは山下智久と大地真央。
「この中で一番、テレビが大好きな大人って誰?」という事で指名されたのは大地。
チコちゃんに「テレビって何で映るの?」と聞かれ「…あの~、細か~い粒子がいっぱいあって、電波が…えーと、…キャッチをして…」と答える。
するとチコちゃんに「どうやってキャッチするんですか」と突っ込まれる。
大地は「神様にお願いして…キャッチーみたいな…」とに答えるが「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叱られた。
○チコちゃんの答え
→テレビが映るのは、映すものに200万個の赤・緑・青にして、明るくしたり、暗くしたり手を抜いたりしているから
色は、光の三原色(赤・緑・青)の組み合わせで表現できる
詳しく教えてくれるのは、テレビ放送の研究開発を行うNHK放送技術研究所 テレビ方式研究部 日下部裕一研究員。
先生は横にある「テレビ画面の白いところを虫眼鏡で見て頂きたい」とスタッフに言う。
スタッフが言われた通り見てみると「白いとこ見てるのに、赤と緑と青に光っています」と答える。
先生によれば、我々が目にする色は、赤と緑と青(光の三原色)の3色の光で表現でき、この割合が変わることで様々な色を生み出すことができるという。
例えば
・紫は暗い赤に、暗い緑、暗い青
・ベージュなら明るい赤、明るい緑と暗い青
と、赤と緑と青の明るさを変えることで、あらゆる色を表現できる。
なお、三つの光が均一になった時には白に見える。
赤・緑・青の光が3色が並んだ一ますのことを画素という
テレビ画面の白い部分を拡大すると、そこには赤・緑・青の光が…。
3色並んだ、この一マスのことを画素と言う。
ハイビジョンテレビの場合、32インチでも50インチでも、大きさにかかわらず画素は200万個ある。
200万個のマス、一つ一つが光っているという事。
基本的なテレビのしくみ
(ここからは日下部研究員に、テレビの仕組みを簡単に説明してもらう)
そもそもテレビが映るには「撮影」「伝送」「表示」という三つのプロセスがある。
撮影
まずは撮影について。
カメラで、ある被写体を撮影すると、この被写体の光が、カメラのレンズを通して中に入る。
そしてその光は、特殊なガラスを使って、赤と緑と青の信号に分けられる。
例えば
チコちゃんをカメラで撮影すると200万マス分の赤・緑・青の三色の光には分けられ、電気信号に変わる。(これで、まず被写体の光が電気信号に変わった)。
伝送
そして、その電気信号は、テレビ局から各地の電波塔(東京であればスカイツリー)まで送られ、そこから電波に乗せて各家庭まで送られる。
これが伝送。
表示
家のアンテナに届いた電気信号は、今度はテレビの中で再び光に戻る。
テレビがどう表示されるのか
ここからはテレビがどう表示されるかについての説明。
詳しく教えてくれるのは、放送技術研究所新機能デバイス研究部中田充研究員。
電気信号がどう光に戻るかは、ディスプレイの種類によって違うので(今回は一番広く普及している)液晶ディスプレイで説明する。
まず画面の色がどのように作られているかを見ると…
白の場合は赤・緑・青の3色だったが、黄色の部分は緑と赤だけ光っている。
・赤・緑・青の青が消えて緑と赤だけが光っている⇒黄色
・赤が消えて緑と青が光っている場合⇒水色
・緑が消え、赤と青だけが光っている⇒赤紫色
このように赤・緑・青のどの光がどのくらいの強さで出ているかで、小さなひとマスの点の色が決まる。
それが200万マス分、表示されている。
光の強さはテレビの中に入っている液晶で調整されている
赤・緑・青の光の強さをどのように調整しているのか?
この光の強さは、テレビの中に入っている液晶で調整されている。
テレビを真横から見ると
裏面
↓
・バックライト
・偏光板
・ガラス
・液晶層
・カラーフィルター
・ガラス
・偏光板
↑
表面
の順に並んでいる。
裏からのバックライトが液晶層を通り、カラーフィルターを通って、赤・緑・青の色がつき、私たちの目に届く。
この時、赤・緑・青のどの光が必要なのか、200万マス分の情報を伝えるのが電気信号。
この電気信号が、光を何色のカラーフィルターに通し、何色のフィルターに通さないか、液晶の中にあるで液晶分子に伝える。
例えば、
赤と緑だけ光を通し、青は通さないと支持されると、テレビの画面には黄色として映る。
この方法で電気信号が赤・緑・青の光の量をそれぞれ調節して、ひとつの点の色が決まる。
200万個の点の赤・緑・青を電気信号で明るくしたり暗くしたりすることで、テレビが映っている。
電気信号には、200万画素全ての赤・緑・青の明るさ情報が含まれているため、ハイビジョンの画面に動画を1秒流すのにおよそ15億個もの電気信号が必要だそうです。
中田さんは「しかし15億の電気信号を送ることはできないので、そこに一種の手抜きをしている。さっきの部署に手抜きについて研究している市ヶ谷さんって方がいるので聞いてみてください」という。
一種の手抜きとは?
やってきたのは日下部研究員と同じ部署で手抜きを研究しているという、放送技術研究所テレビ方式研究部市ヶ谷敦郎研究員の実験室。
スタッフが「電気信号を手抜きして送っているって中田さんから聞いたんですけど」というと市ヶ谷さんは「中田さんが僕らの研究のことを手抜きって言ったらしいですよ」と同じ部屋にいた日下部さんに言う。
日下部さんは「そうとも言えなくはないですけどね」と答える。
1秒間のハイビジョン信号は大体15億個の電気信号を持ってる。
電波は公共の資源なので一つのテレビ局で使える範囲が決まっている。
範囲の中で送れる電気信号はだいたい1500万個。
つまり15億個の信号を、どうにかして1500万個まで少なくしなければいけない。
15億個の電気信号をどうにかして1500万個まで少なくするために放送局が使うのが手抜きの技術。
いったいこの手抜きとはどういうことなのか?
こちらの動画を見てください…
(というとチコちゃんの番組の映像の一部が流れる)
この動画一コマずつを見てみると、ほとんどの部分が動いていなくて、岡村の手とか、動いてるところはほんの少しある。
(4コマの映像を重ね合わせてみると動いているのは、岡村の手と表情だけで他は何も変わっていない)
このように、ほとんどの動いていない部分は最初に一度送ってしまったら、もうそれを使い回してしまう、という。
実際放送されている映像を見てみる。
普段見ているのは普通の映像ですが、手抜きしている(とされる)映像を見てみると、ほとんどが灰色に覆われている。
この灰色の部分が電気信号を送っていない手抜きの部分。
このように完璧な画像を送るのは、現在の地デジでは0.5秒に一回だけ。
それ以外はこの灰色の部分は送らなくていいので、その分、電気信号の量は減る。
この技術を使って15億個ぐらいの電気信号を1/100にして家庭に送っている。
つまり、テレビは、
カメラで写したものを赤・緑・青に分けた後
⇒放送局からなるべくデータ量の少ない電気信号にして送る
⇒再びテレビの中で赤・緑・青の光に戻すことで、カメラで写した映像を再現している。
愛ちゃん情報
NHK放送技術研究所では他にも様々な研究を行っている。
・超薄型のフレキシブルディスプレイ=薄くて軽くて丸めることができる4型対応の画面。
・テレビを一緒に楽しむロボット=画面に出た映像やキーワードを判別してテレビを見ながら会話を楽しめる。
※以上4月9日NHK「チコちゃんにられる!」より参照・抜粋