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森と林の違いは何ですか?~チコちゃんに叱られる!

チコちゃんに叱られる

そういえば、普段の会話で「林」という言葉は使う事はあるが、「森」という言葉は意外と使わないことに気付いた。

6月5日放送のNHK「チコちゃんに叱られる!」のゲストは、初登場の伊藤沙莉と4回目の登場(オリジナルメンバー)の天野ひろゆき(キャイーン)。最後の問題は「森と林」について。

森と林の違いは何?

「この中で一番自然が好きな爽やかな大人ってだあれ?」
「爽やか、は置いといて自然は好きです」という事で岡村が立候補。

先週に引き続き今回も最後の問題は視聴者からの質問だった。
「森と林の違いは何ですか」?

木が生えている様子の2枚の写真が出される。

岡村は「なんか聞いたぞ…」と言ってちょっと考えてから答えると…正解!
岡村は「山に行くロケがあって、車の移動中(3時間くらい)ディレクターが気を利かして問題でも出しましょうか?と言ってくれて、その問題の一つにこれがあった」と正解できたタネあかしする。

この問題に岡村が正解したので…漢字問題が出された。
お題は「けが」。
3人とも不正解。
正解は:怪我

○チコちゃんの答え
⇒森と林の違いは自然か人工か

森と林の見分け方

詳しく教えてくれるのは、植物の分布や生態に関して研究する東京学芸大学小泉武栄名誉教授。

最初に先生はスタッフに、木がいっぱい生えている写真を見せる。
そしてこれが、森か?林か?と尋ねる。

木がいっぱいあるので森と答えるが、正解は林だった。
さらに森だという写真を見せて、木の数は関係ない、という。

先生は「この(2つの写真の)違いは、それぞれの言葉の成り立ちを理解すると見分けることができる」という。

森は「盛り」

「森」という言葉の表現は「盛り」だと考えられている。
もともと「森」とは盛り上がった土地の自然に生えている木々の集まりのこと。
山に近い意味だと考えられている。

古来の人々は森と山を同一のものと考え、その証拠に山の名前の「黒森」「大森」など、森という言葉が山を意味する場所が日本各地にある。

林は「生やし」

「林」という言葉の語源は同種の「生やす」だと考えられている。
つまり、林とはもともとは人の手で生やした木々の集まりを指す言葉だ。

例えば、江戸時代、城や寺院を建てるため、人々は次々と木を切っていった。
その結果幕府は、森林を守るため木々の管理に乗り出す。

こうして管理された木々は「御林(おはやし)」と呼ばれ、計画的な伐採や人工的に木を植える植林など、人の手による管理が行われた。

自然に生えた森と人の手が加わった林、この違いを踏まえて最初に見た写真を見比べてみると…

森の方は木々の大きさがバラバラで様々な木々が入交り、いかにも自然にできた木々の集まりという感じ。

逆に林の方は同じ種類の木が規則的に並んでいる。これは人の手で計画的に植えられた証拠。

…こうしてそれぞれの言葉の成り立ちを知ると、森と林を見分けることができる。

あまり意識していないのはなぜか?

確かにわかりやすい「森=自然」と「林=人工」の区別の仕方だが、なぜ我々はこの違いを普段あまり意識していないのだろうか?

「それは私が思うに戦争の前後で起きた大規模な森林伐採が影響していると思う」と先生。

昭和の日本では戦争が激化、資材として大量の木材が必要になった。
また、終戦後も建物を立て直すのに木材は欠かせない。

同時期に紙の需要も増えたことで自然のまま残っていた森の木々が切り倒され、人が目にする山々の森は人間が計画的に木を植えた林になってしまった。

先生は「本来の意味ので森と呼べる存在が少なくなっていったことで、森と林をわざわざ区別するという考え方自体も薄れていったのではないかと思う」という。

実際に現在の植物学や林学の世界では「原生林(森)」「人工林(林)」という共に林を使った言葉で自然か人口かを区別していたりする。

このようにあいまいになりつつある森と林の区別…。

明治神宮林苑は森とも林ともいえない特殊な環境

さらに、今ではこんな特殊な事例もある。

原宿の明治神宮の森とも林ともいえない特殊な環境が広がっている。
…という事でスタッフは明治神宮の木々を管理している、明治神宮林苑担当の松井正さんに話を聞いた。

「明治神宮の環境が特殊だと伺ったのですが…」とスタッフ。
「確かにそうですね、この明治神宮に生えている木々は、実は元々人が植えた木だった」と松井さん。
さかのぼることおよそ100年、この場所は樹などほとんどない荒れ地のような場所だった。
そんな場所に人工的に木を植え、今では「明治神宮の森」と呼ばれる。

この場所はなぜ誕生したのか?

「明治神宮の森」誕生

そもそも明治神宮とは1912年に崩御した明治天皇と昭憲皇太后をまつるために建てられた神社。

古来、木々の生い茂る場所には神が宿るとされ、森の中に神社を建てる習慣があった。
明治天皇をまつる神社とあれば、生い茂る木々に囲まれるべきという考えがあり、当時の荒れ地を緑あふれる地に変える必要があった。

当時の明治神宮の植林計画が書かれた「明治神宮御境内林苑計画」。
そこには、木を植えてから150年後の木々の予想図とある決め事が書かれている

それが「この150年の間、基本的には人々が木々に介入しないと最初から決められていた事なんです」と松井さん。

明治神宮は手入れは基本的に行っていない

一般的な林では、定期的に人の手で木を切り、一本一本の木がより大きく成長するように手助けすることで林を維持している。

明治神宮ではこのように人の手による手入れは基本的に行っていない。
最初に植林する際に、様々な木を計算された配置で植えることで、異る木同士の生存競争を促した

成長スピードの違う木々は、より太陽の光を受けられるよう競うように成長を重ねる。
これにより人の手を介さず木が自然に成長していくように最初から計画されていた。

最初こそ人工的に植えた木々だが、人の手を加えず成長した明治神宮の木々は、もはや林ではなく森と言ってもいいかもしれない。

スタッフは「中に入って詳しく見せて頂きたい」と申し出るが…

「すみません、この森は人の立ち入りを制限している。明治神宮の関係者でもこの森の中に立ち入れるのはごく一部の人だけなんですよ」と言われる。

森の中は関係者以外立ち入り禁止。
スタッフがを抱えると松井さんは「特別にNHKの番組が取材していた」と教えてくれた。

ということで…
NHKに保存されていた、都心とは思えない明治神宮の森の貴重な森の映像が流れた。

…100年以上前に立てられた計画の集大成として生まれたこの場所は、都会の中心にありながら、色とりどりの植物と多様な生物たちが住まう、まさに神秘の森。
この先も人の力に寄らず永遠と続いていくことを願わずにはいられない…(と、最後にナレーションが入った)

そして先生は「最近では、植林をする際に1種類の植物だけでなく、明治神宮のようにいろんな種類の植物を植えることも増えてきました。これにより人の手が入らなくても成長していく人工の森が増えてきている。そんな現代だからこそ、今一度、森と林を区別して考えるというのも大切なことではないかなと思います」と言った。

※6月5日NHK「チコちゃんに叱られる!」参考・参照

まとめ

少しでも街の方に住んでしまうと、普段は森も林も目に入ることはない。せいぜい街路樹が木として目に入るくらいなものだ。街路樹も人工的に植えられたものがほとんどだろうから林の類なんだろうな。

それにしても150年後の木々の予想図を作るとはなんと壮大な計画だろう。作った人は150年後を見ることができないのに…しかも思った通りの森が出来上がっているという事実…昔の人はすごいなぁと改めて感動した。

それから…
番組で以前から募集していた「江戸川慕情」のメロディーが、次回の番組で決定するらしい。これは楽しみだ。

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