民謡でよく使われる「ハァ~」を深堀りするとHIPHOPのフリースタイルに似ている?気がした。そしてACEの「即興民謡ラップ」、ヒップホップもこんな感じなら悪くない、と思った。
9月20日の「チコちゃんに叱られる」の2つ目の問題は「民謡」について。
「この中(岡村隆史、小栗旬、宮沢りえ)で東京出身の素敵なシティボーイはだあれ?」と聞かれた岡村「私違うわぁ、浪花ですから」と分かりきったことを言うと、小栗がふふっと笑う。
民謡の「ハァ~」て何?
小栗の出身地は小平市だそうだ。
チコちゃんに「民謡、盆踊り○○音頭など知っているか」と聞かれ「東京音頭」と答える。歌ってみてと言われ手拍子をしながら「♪ハァ~踊り踊るならちょいと東京音頭…ヨイヨイ!」と歌うと…
「民謡のハァ~て何?」と聞かれる。
それを聞いた岡村「とんでもないのきたで!」という。
小栗は「『いくぞ~』みたいな…勢いを出すため!」と答えるが「ぼーっと生きてんじゃねーよ!」と言われる。
そこでスタッフは、NHKで「民謡魂ふるさとの唄」という番組の司会を(6年ぐらい)しているというTOKIOのリーダー城島茂の元へ…
「タイミング、勢い」と小栗と同じ答えを出すが、やはり出張チコちゃんに「ぼーっと生きてんじゃねーよ!」と叱られ、謝る城島。
◯チコちゃんの答え
⇒民謡の「ハァ~」は、時間稼ぎ
答えを聞いた岡村「こういうのがあんのよ」と言い、小栗は「何だよそれ…」と苦笑いする。
民謡は作業唄だった
詳しく教えてくれるのは、日本全国の民謡を研究約60年、物心ついたころから民謡に携わっている男、公益財団法人日本民謡協会常務理事の榎本秀水先生。
「民謡というのは、本来その時その時の自分の心情を歌うもので、その場で即興で歌う事が多かった。民衆は即興で時間稼ぎに歌っていた『ハァ~』がいつの間にか定着してそのまま歌詞になった」と先生。
民謡はかつて民衆が作業する時の作業唄として歌われていた。
例えば新潟の有名な民謡「佐渡おけさ」。もともと金山で鉱石をより分ける作業の時即興で歌われていた歌。作業員たちがその場で歌詞を思いつきながら歌うため、次に歌う人が歌詞を考えるため時間稼ぎのため「ハァ~」と言っていたそうだ。(「ハァ~これは金なのか?」「ハァ~そんなのすぐわかるだろ~」「ハァ~それはただの石だろう~」…とか)
まとめ:民衆は様々なシチュエーションで作業の辛さを少しでも和らげるためにリズムに合わせ即興で歌っていた。
作業唄の他にも祝い唄や(福岡県民謡 ♪博多祝い唄)お座敷唄(岐阜県♪おばば唄)など幅広い分野で民謡は歌い継がれてきた。
なぜ「ハァ~」だったのか
なぜ「ハァ~」だったのか…
先生は「『え~』でも『う~』でも良かったと思うが『ハ』という音は発音しやすく明確で強いために一番しっくりきたのだと思う。時間稼ぎの他にも「次は私が歌います!」と注目を引いたり、どんな歌詞なんだろう?と期待感を持たせる、そういった理由もある」という。
それを聞いたスタッフが「民謡が即興で歌われていたという事は、今でいうHIPHOPのフリースタイルと同じような事ですか?」と聞くと先生は「まぁ、近いと言えば近い所はある」と答えた。
そこで番組では、民謡歌手とフリースタイルラッパーで「即興民謡ラップ」をしてもらった。
即興民謡ラップ
民謡界からは民謡歌手歴40年、出したレコードは150枚以上、おばさま方に大人気の小野田浩二さん、と、ヒップホップ界からは、ブラジル生まれフリースタイル育ち、即興のスペシャリストACEさんに「即興民謡ラップ」をやってもらう事になった。
スタッフが「民謡のハァ~というのが時間稼ぎなんだけど…もしACEさんが言葉に詰まったら…?」と聞くと「…まぁ『分かるだろ!?』とか『だけれども』とか連発してしまうくせはありますね」と答えていた。
前代未聞の民謡歌手とフリースタイルラッパーの即興民謡、お題は「最近の若者について」。
太鼓と三味線の演奏をバックにそのリズムに合わせて、二人は即興を始めた。
小野田さんは娘との久しぶりの食事の時、スマホばかりいじっている娘の姿や言葉遣いがなっていないと嘆いていることを歌詞にし、ACEさんもそれにこたえるように「言葉はちゃんと伝えろ」と歌う。
民謡は「ハァ~」を入れて、ヒップホップは「わかるだろ」を入れて歌い始めた。
…終わった後、ACEさんが小野田さんにハンドシェイク?を求めた。
それに慣れない手つきで応じる小野田さんの姿が印象に残った。
「即興民謡ラップ」…なかなか面白かった。
※9月20日「チコちゃんに叱られる」参照・抜粋
まとめ
小野田さんは、やや緊張気味で、ACEは結構余裕で、歌っているように見えたが、結構いい感じで心情を歌う、即興で歌う、交互に歌うなど本来の民謡はHIPHOPに近いものがある気がした。
ヒップホップなのに違和感なく伴奏に合い、歌詞もちゃんとまとまっていてわかりやすかった。ACEはさすが、というべきだろう。