新聞紙を広げた対角線はおよそ1m。
ボーリングのレーンの幅もおよそ1m…らしい。
へぇ~、覚えてるといいかも。
1mってなんの長さなの?
1月22日のNHK「チコちゃんに叱られる!」のゲストは、欅坂46の長濱ねるとカニング竹山。
チコちゃんに「この中で一番、物の寸法をちゃんと図る几帳面な大人」聞かれ「いろいろ気になる方ではありますけど、魚釣った利したら測りますし…」と岡村が立候補した。
チコちゃんに「長さの単位でメートルってある、あれ何?」と聞かれた岡村「何かの物が1mなんや。それでバチーンと決まったんや。それが何か、ですよ」という。
チコちゃんに「なんだ?」と聞かれ「田んぼ!」と答え「田んぼ?どこ?」と聞かれると「ちょっと待ってください。…田んぼは撤回させてください」というものの、次の言葉が出ないので、チコちゃんに叱られる。
◯チコちゃんの答え
⇒1mは2億9,979万2,458分の1秒の間に光が真空中を伝わる長さ
1mは2億9,979万2,458分の1秒の間に光が真空中を伝わる長さ
詳しく教えてくれるのは産業技術総合研究所長さ標準研究グループ長の平井亜紀子さん。
(先生に、身長を聞かれたチコちゃん、スイカ5個分と答えていた)
先生は「1mは2億9,979万2,458分の1秒の間に光が真空中を伝わる長さです」という。
スタッフに「なんでそんなややこしい数字なんですか?」と聞かれるも「とにかく正確さ・継続性が大事だからなんです」と答える。
光は秒速、約30万㎞。
1秒間に地球をおよそ7週半進む。
その距離の2億9,979万2,458分の1が1m。
そもそも長さの単位はバラバラだった
そもそも長さの単位は、18世紀まで「インチ」「尺」「ヤード」「フィート」など、国によって使う単位がバラバラだった。
その結果、国同士が貿易をするようになった時、取引をする単位がバラバラでわかりずらく、問題が起きていた。
そこで大海時代を経て「世界で統一した単位を決めて正確な基準を作ろう」という事になった。
その中心となったのがフランスの政治家・外交官のシャルル・モーリス・ド・タレーラン・ペリゴール(1754-1838)さん。
世界基準の長さの単位を作る
フランスの科学者たちは、タレーランさんの世界基準の単位を作ろうという提案を受け、北極点からパリを通って赤道までの子午線の長さを元に新しい長さの単位を作ろうとした。
計測方法は?
ここからは芸人のもう中学生が、段ボールを使って説明。
北極点から赤道までの差はちょうど90°。
北の町ダンケルクと南の町バルセロナの緯度の差はおよそ10°。
なのでダンケルクとバルセロナの距離を測って9倍すれば北極点と赤道までの距離が求められる、と考えた。
北のダンケルクから南下するチームと、南のバルセロナから北上するチームの2チームを作る。
測量方法は今でも行われる三角測量で、山や川などの障害物があろうとなかろうと、ただひたすら真っすぐ2つの都市を結ぶ子午線上を測り続けた。
しかもフランス革命中だったこともあり、南下するチームは反政府軍に間違えられたり、国境で足止めを食らったりと、とにかく大変だった。
その測量に費やした歳月およそ7年。
1798年…
ダンケルクとバルセロナまでの距離が計測できたことで、北極点から赤道までの距離、地球の円周の四分の一の距離が、当時のフランスの長さの単位で513万740トワーズと判明した。
これを1千万分の1にした長さを正式に1mと定めた。
なぜ1千万分の一だったのか?
しかしなぜ1千万分の一だったのか?
先生は「もういい塩梅としか言いようがないんですけど」という。
かいつまんで説明すると…
その頃(18世紀)生活の中で、使いやすい長さの目安として男性が両手を広げた半分の長さが使われていた。
それ位の長さを新しい単位の基準にしたいと考えた。
そして当時、地球の円周のおおよその長さがはわかっていて、その4000万分の1が男性が両手を広げた長さの半分の長さになると予想していた。
今回は、地球の円周の4分の1を正確に測ったので、その距離の1千万分の1を1mと決めた。
1mの誕生は単位の世界に革命をもたらす
この1mの誕生は単位の世界に革命をもたらした。
1mが決まったことで…
面積を表わす1㎡が定まり
体積を表わす1㎥が定まり
そこに入る水の量を1000ℓと定めて
その千分の1を1kgと決めた。
つまり「m(メートル)」という単位は、私たちの生活のほとんどの単位の元となっている。
メートル原器
1mを定めたフランスは1799年、プラチナで1mのメートル原器を作り、これを長さの基準とした。
その後、材料を白金イリジウム合金に変えるなど手直しを加え、30本のメートル原器を作成。
1889年、そのうちの1本を「国際メートル原器」と定めた。
そして予備の2本を含む合計3本をパリに置き、残りの27本を世界中の国々に配った。
そのうちの1本がここ(産業技術総合研究所)にあり、見せてくれた。
このメートル原器は、日本の近代化における学術的な価値が認められ2012年に日本文化財に指定された。
絶対に変わらない基準を求めて
単位の基準というものは絶対に変わってはいけないもの。
だが物でできている以上、変わってしまう恐れがある。
つまり、丈夫で変化しにくいとされる白金イリジウム合金でできたメートル原器でも衝撃によって欠けてしまったり、年月によって1千分の1ミリ程の伸び縮してしまう事がある。
しかし基準となる原器はたとえ1千分の1ミリであっても変わってはいけない、という。
クリプトン86の電磁波
そこで、物ではなく絶対に変わらない基準に変更しようという事になり、19世紀末、注目されたのが電磁波。
物質を構成する原子が出す電磁波の波長は、それぞれ固有であることがわかった。
そこである物質から出ている電磁波を選び、その一つの波長の何倍がメートル原器の長さに相当するかを測り、新しい基準にすることにした。
選ばれたのは、クリプトン86(kr)という原子から出る、波が綺麗で計測しやすい電磁波。
1960年、クリプトン86の波長の165万763.73倍が1mと定義が改められた。
ただ、この波長を基準にすることにも問題があった。
例えば、物差しで長さを測る時、この目盛り線がぼやけているとあいまいになって長さが正確に測れない。(メモリに幅があるせいであいまいになってしまう)
波長でいうと両端の線の厚みの部分(ちなみにその長さは約1千億分の1㎜程度)だが、それでもダメということ。
白金イリジウム合金でできたメートル原器の1千分の1㎜の(物理的)変化もダメ。
電磁波の約1千億分の1㎜のあいまいさもダメ。
とにかく世界中の専門家たちがこの世で一番変わらないものを考えた。
この世で一番変わらないもの=光
20世紀に入り、人類が見つけたこの世で一番変わらないもの、それが光。
アルベルト・アインシュタインが提唱した相対性理論の「光は誰から見ても一定の速度で進む」という性質を使えば間違いない、という事になり、新たに基準を光の速さに決めた。
そこで真空中の光の速さを測ってみると、1m進むのにかかる時間は2億9,979万2,458分の1秒であることが分かった
こうして1983年(第17回国債度量衝総会)1mは2億9,979万2,458分の1秒間に真空中を光が伝わる長さと改定された。
※1月22日のNHK「チコちゃんに叱られる!」より参照・参考
まとめ その他の疑問
チコちゃんの身長はスイカ5個分。
そーなんだ…とは思ったものの、スイカって大きさいろいろ。
普通で売っているのって23センチぐらいあるのかな。
直径23㎝なら、5個で115㎝だけど。
文科省によると5歳女子の平均値は109.4cm。
直径22㎝ぐらいのスイカ5個分ってとこか…。