納豆なんて腐った豆!と言って食べない人もいるが、れっきとした健康食品だ。でも確かに糸も引くし腐った食べものという感も否めない。納豆は発酵食品とも言うが、発酵と腐った食べものの違い、知っておいて損はないだろう。
腐ると発酵は何が違う?
チコちゃんに「この中(岡村隆史とゲストの内田恭子と大竹まこと)で、一番舌の肥えた違いの分かる大人ってだあれ?」と聞かれ、岡村は「これはもう…」と大竹を指名する。
チコちゃんが大竹に「納豆って腐ってんの?」と聞く。
「発酵してんだよ!」と大竹。
「じゃあさ、腐ると発酵は何が違うの?」とチコちゃんが聞くと…大竹は、一瞬固まったが「知らねーよ!」と言う。
それを聞いたチコちゃんは「知らないって、あなた、13回も出てて『知らねえよ!』はないでしょ」と言う。
大竹は「あのね、発酵っていうのは発酵菌というのがある。それが関係したものは発酵するんだよ」と言い切る。チコちゃんは「なるほど…腐るのは?」と聞く。
大竹「その辺に置いておくと…いろんな菌が寄ってきて…」
チコちゃん「それも菌なんだ」
大竹「…菌じゃないの?」
大竹「発酵は菌」
チコちゃん「腐るのは?」
大竹「菌…」
チコちゃんに「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と言われる。
「ボーっとしてたかなぁ」と大竹。
〇チコちゃんの答え
⇒腐ると発酵の違いはお腹が痛くなるかならないか
腐るというのは空気中の雑菌が食べ物に付着して増えること
詳しく教えてくれるのは、長岡技術科学大学で長年発酵の研究を続けている小笠原渉教授。
「そもそも食べ物が腐るというのは空気中の雑菌が食べ物にピタっと付着して、ワーッと増えてそれで腐るんですね」という。
我々の身近には様々な菌が存在している。
そのほとんどが常温(20℃前後)で活発に活動し食べ物を腐らせる。
このように食べ物が腐ってしまうのを防ぐ為に作られたのが冷蔵庫。
冷蔵庫など低温の場所では、菌の繁殖速度が遅くなるため、食べ物が腐りにくくなる。
腐るも発酵も同じ菌の現象
冷蔵庫がない時代は食べ物がすぐ腐ってしまう。
そこで食べ物を長持ちさせるために生まれた方法が発酵。
「腐るも発酵も同じ菌の現象なんですね」と先生は言う。
発酵とは
発酵というのは人が菌をわざと選んでつけているもの。
発酵食品の歴史は古く、例えば納豆はおよそ一万年以上前の縄文時代から食べられていた。
納豆は煮た大豆にわらなどに多く生息する菌(納豆菌)を付けて作る。
その他
・ヨーグルト…乳酸菌(ブルガリクス菌)
・キムチ…キムチ乳酸菌
・味噌…麹菌
このようにどれも、人が菌を付着させることで発酵させている。
発酵させたものを食べてもお腹が痛くならない理由
ではなぜ、空気中の菌が付いて腐ったものを食べるとお腹が痛くなったりするのに人が菌を付けて発酵させたものを食べてもお腹が痛くならないのか?
先生によれば「人にとっていい菌か悪い菌かで、発酵か腐るっていう現象が起こる、という事」だそうだ。
納豆の場合
納豆の場合、納豆菌が大豆のタンパク質などを食べ、うま味成分であるアミノ酸などを作りながら繁殖している。
納豆のネバネバは納豆菌が、タンパク質を食べて作ったアミノ酸からできたうま味成分そのもの。納豆菌が作る物質(アミノ酸)で出来ているので人体には無害なのでお腹が痛くならない。
ヨーグルトの発酵は「ブルガリクス菌」という乳酸菌が牛乳にふくまれる糖を食べ、爽やかな風味の元であるアセトアルデヒドなどを作っている。人体に無害なのでお腹が痛くならない。
人体に無害な菌が作用しているものを発酵食品と呼ぶ。
食べ物が腐るとは
空気中の菌が食べ物にピタっと付着して増えるのは同じだが、菌が食べ物を食べて毒素(毒になる元)を作っている。菌が出す毒素に侵された食べ物が腐っている状態。
お腹が下るのは
毒素を出す菌が付いている食べ物を食べてしまうと、その菌は体内で消化中の物質を食べ、毒素をどんどん作る。すると腸が毒素を感知し粘膜から大量の水分を分泌して、毒素を早く体から出そうと腸が細かく動く…これがお腹が下る、という状態。
お腹が痛くなるのは
さらにその腸の細かな動きが痛みとして脳に伝わる。これが腐ったものを食べるとお腹が痛くなる仕組み。つまり菌が出す物質が人体に有害なためお腹が痛くなる。
腐ると発酵の素朴な疑問
〇発酵食品は腐る腐らない?
パックしたまま冷蔵庫に入れておくとそれはよほどのことがないと腐らない。(食べ物を発酵させる菌には自分以外の菌を寄せ付けない働きがある)
納豆で言うと…
納豆菌が元気なうちはラグビーのようにガッチリスクラムを組み毒素を出す菌をブロックしている。納豆菌も大豆の栄養分が無くなっていくと次の栄養が来るまで待っていようそういう形で休眠してしまう。
大豆の栄養を食べつくした納豆菌は、休眠状態に入りスクラムが緩んでいく。すると空気中の菌がスクラムをすり抜け大豆に侵入、納豆菌が食べない別の栄養素を食べて毒素を出す。
「発酵食品が腐ります」…という事は、ふたを開けて雑菌が入るようにしてしまうと、毒素を出す。その瞬間に発酵から、腐るという現象へと変わる。
食べ物を発酵させる菌は、どれだけ時間を置いても人体に害はないが外部から毒素を出す菌がはいいてしまうと腐ってしまうので密閉した方がいいようだ。
〇ヨーグルトがインフルエンザに効くと言われているが実際のところどうなっているのか?
「全くわかってないです」と先生。
インフルエンザに感染したマウスに「水だけを与えた場合」と「ヨーグルトを与えた場合」とではヨーグルトを与えたマウスの方が免疫細胞が活性化しインフルエンザウイルスの数が減るという実験結果が報告されている、そうだ。
だが先生は「発酵食品を作っている菌たちが人に対していいことをしているのは間違いないと思う。但しそれがどうしてとかになってくるまさに今研究しているので正直僕もわからない。チコちゃんを見ている子供たちの時代にきっとわかってくる、それぐらい難しい」と言っていた。