毎日当たり前のようにこんにちはと言っている皆さん、改めて聞かれてちゃんと答えられますか?
こんにちはって何?
1月29日のNHK「チコちゃんに叱られる!」のゲストは村上佳菜子と18回目の登場の大竹まこと。
「この中で挨拶がしっかりできる礼儀正しい大人」という事で人生の大先輩、大竹が指名される。
チコちゃんに「こんにちはって何?」と聞かれた大竹は「今日が…めでたい!」と答え、叱られる。
◯チコちゃんの答え
⇒「こんにちは」は「こんにちは、とてもご機嫌がいいですね」の略
「こんにちは」の後に繋がる挨拶が省略されている
詳しく教えてくれるのは、日本語の歴史の研究をしている国立国語研究所の小木曽智信教授。
先生は「『こんにちは』は、漢字で『今日は』と書きます。実は江戸時代こんにちは、の後に繋がる挨拶が省略されて今のこんにちはになった」という。
江戸時代以前には「こんにちは、一しほ御きげんがようござある」(今日は一段とご機嫌がいいようですね)と言っていたそうだ。
(室町時代に作られた書物、狂言「秀句傘(しゅうくがらかさ)」の台詞集にもこの挨拶が載っている)
なぜ、こんなに長い挨拶をしていたのか
(当時は)相手に合わせてその場で、言葉を作っていた。
一言でいえる挨拶はなかったため「こんにちは」の後に、いろんな言葉がついた挨拶をしていた。
…という事で、江戸時代の挨拶を江戸東京博物館の人形たちを背景に言葉を再現した。
「こんにちは、天気もようてうれしゅうござる」
(こんにちは、天気も良くて嬉しいですね)
「こんにちは、けしからずお暑うございます」
(こんにちは、とても暑い日ですね)
「はい、こんにちは、どうかお天気になればようございますね」
(ええ、こんにちは、過ごしやすい天気になればいいですね)
「やれやれ、こんにちは、久しぶりで」
(やあやあ、こんにちは、お久しぶりです)
…このように長かった挨拶が、何故「こんにちは」という短い、言葉だけになったのか。
江戸時代の間に平和な時代が続いて、どんどん商業が発達して、いろんなお店が出来てくる。
そういう中で、お客さんと店の人が、挨拶をする機会がものすごく増えた。
お店の人はいろんな人に声をかける。
その中で決まった短い挨拶とかが生まれていったんだろうと思う、と先生は言う。
つまり、「こんにちは」は、いちいち長い挨拶をしていると客を逃してしまうと考えた商人は、次々と声をかけることができるように、短く省略した言葉だった。
江戸時代後期(1832年)に書かれたの小説の中には店員と客とのやり取りの中で現代と同じ、「こんにちは」と短くなった挨拶が書かれている。
明治時代になると国語の教科書に「こんにちは」のまま掲載され、教科書でこれが正しい挨拶だよ、と教えられたことで日本中みんな「こんにちは」が標準的な挨拶になったんだろうと思う、と先生。
江戸時代に短く略された挨拶
こんにちはと同じように江戸時代に短く略された挨拶がある。
◯「おはよう」
おはやく起こし下さって、ありがとうございます…が省略されたもの。
ちなみに…
歌舞伎の世界では裏方さんたちが、早く楽屋入りした役者さんに「お早いお着きですね。お早くからご苦労様です」というように相手をねぎらって使っていたそうだ。
今でも芸能の世界では、時間に関係なく「おはようございます」と挨拶する人がいるのは、その名残り。
◯「こんばんは」
元々商店の店主が「今晩はよくお越しくださいました」と、客人にいうあいさつが省略された言葉。
※1月29日のNHK「チコちゃんに叱られる!」より抜粋・参照
まとめ
サービス業をしていた頃、午後出勤者が「おはようございます」と言って入ってくるのを新人が「挨拶がおかしいですよ」と言っていたことがあった。
先輩として、その理由をうまく説明できず「そういうもんなんだよ!」としか言えなかったが、今ならちゃんと説明できそうだ。