そもそも「ジャージ」という言葉は国語辞典には無いそうだ。
正しくは「ジャージー(Jersey)」らしい。
なるほど…覚えておこう。
なんで体操着の事をジャージっていうの?
チコちゃんが「この中(岡村隆史、とゲストの夏木マリ、小林よしひさ)で、一番身だしなみを気にしている素敵な大人ってだあれ?」ということで、回答者はよしおにいさんになる。
「お母さんといっしょで体操する時何着てた?」と聞かれ「体操服を着ていた…またはジャージ」と答えると「何で体操着の事をジャージっていうの?」と聞かれ「ジャージさんが広めた」と答えるが「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と言われる。
〇チコちゃんの答え
⇒体操着の事をジャージというのはジャージー牛と同じ島で生まれたから
「ジャージ」はそもそもジャージー島生まれの編み物生地の事
詳しく教えてくれるのは…
布の素材やデザインに詳しい多摩美術大学テキスタルデザイン専攻 髙橋正教授。
先生は「そもそもジャージはジャージー牛と同じジャージー島生まれの編み物生地の事で、本来はジャージーなんですね」という。
「ジャージ」という言葉は国語辞典には無い。しかし「ジャージー」という言葉は、柔らかく伸縮性のある厚手のメリヤス地の布、とある。
メリヤス編みという編み方を英語でjerseystitchと言い、こういう編み方をした物が「ジャージーステッチ」、日本語では他に「平編み」「天竺編み」「メリヤス編み」とも言われる。
「このジャージーステッチで作られた生地や製品の事をジャージーと言います」と先生は見本を見せる。
スタッフが「今のは毛糸ですか?」と聞く。
先生は「そうです。セーターなどもジャージーステッチなんです。体操着だけでなくこの編み方をした生地の事をジャージーと呼ぶんです」と答える。
※↑メリヤス編み 参考
ジャージーステッチの編み方を拡大するとこのような状態…この編み方はイギリス海峡に浮かぶジャージー島が発祥と言われている。
ジャージー島
イギリスとフランスの間にあるイギリス海峡に浮かぶ小さな島ジャージー島(イギリス海峡チャンネル諸島)。
こくのある味わい深いジャージー牛乳で知られる「ジャージー牛」の生産地。ジャージー牛と同様ジャージーステッチもこの島が発祥という。
ジャージー島では昔漁師が、牛から取った毛で防寒用のセーターを作っていたと言われていて、その時の編み方がジャージーステッチだったと言われている。
ジャージーステッチはジャージー島からヨーロッパに広がり今では世界中で使われるようになった。
ジャージーステッチ編み物の中でも伸縮性があり、耐久性もあるのでトレーニングウエアをジャージーステッチで作られるようになった。
主にアメリカでトレーニングウエアそのものがジャージーと呼ばれるようになり、それが日本にも伝わり、体操着の事をジャージーと呼ぶようになり、いつしか省略されて「ジャージ」と呼ぶようになったのではないか、と言われている。
ジャージ繫がりの生地
インタビューした方々の中には、ジャージではなく、別のラフな格好をした方々がいた。
聞いてみるとそれは「スウェット」だという。
スウェット
「スウェット」と呼ばれているものは、1920年代にアメリカのベンジャミン・ラッセルがフットボールをやっている息子のために作ったのが最初と言われている。
大学でフットボールの選手だったラッセルの息子はジャージーステッチの毛糸のシャツを着ていたが、汗で擦り剝け、着心地が悪いと悩んでいた。
そこでラッセルは、シャツの糸をコットンにし、表面をジャージーステッチ、肌が触れる裏面をパイル織りという織り方にした新しい生地「スウェット生地」を作った。
こうして汗をよく吸い通気性もいいシャツとズボンが出来上がった。
「スウェット生地」は汗の英語であるsweat(スウェット)がそのまま名前になって、スウェットシャツ、スウェットパンツと言われている。
トレーナー
スウェットシャツ、スウェットパンツ、これに似たようなのが「トレーナー」。
「実はスウェットもトレーナーも生地の事だけを見れば同じものなんです」と先生。
トレーナーは和製英語で1960年代にファッションプロデューサーである石津謙介さんが名付けたと言われている。
石津謙介
石津謙介…1960年代に活躍したファッションプロデューサー。
ブレザーやボタンダウンシャツをベースにした「アイビールック」の生みの親でヴァンヂャケットの創業者でメンズファッションの神様と呼ばれた男。
「トレーナー」というファッション用語は石津が名付け日本に広げたという事で、当時の事を息子で服飾評論家の石津祥介さんに聞いた。
本来はスウェットシャツ
祥介さんによれば…
「トレーナーという名前はおやじが付けた名前で、それまで本来はスウェットシャツって呼ばれてた。
汗シャツですね。『汗シャツじゃぁおかしいだろう』というので…おやじが大のボクシングファンでしてね。ボクシングの時は選手を叱咤激励するトレーナーの人たちが上下を着てたんで、それを見て『トレーナーっていう名前がいいな』っていうので売り出したのが、そのままあっという間に定着しちゃった」という。
石津のメーカーから発売されたトレーナーは、飛ぶように売れ雑誌にも掲載されるようになり「トレーナー」という名前は一気に全国に広まった。
石津謙介が日本に広めた言葉は他にもある。
スタジャン
アメリカではアワードジャケットという名前。
スタジアム風景の中で一番見かけるジャンパーだったから「スタジアムジャンパー」という名前で呼んだ。
TPO
「time(時)」「place(場所)」「Occasion(場合)」
昔の日本の学生たちは、学校を出るまで詰襟しか着たことがない。
いつどこで何を着ていいか知らない人ばかりだった。
学校を卒業すると親が紺のスーツを初めて作ってれると言う時代。
一つづつ(いつ着る服か分かるように)名前を付けて作っていったとういうのが当時の石津の仕事であり役割だったという。
※7月18日「チコちゃんに叱られる!」参照・抜粋
まとめ
ジャージー島で「ジャージーステッチ」が生まれ…
その編み方でトレーニングウエアが作られ…
そのトレーニングウエアがアメリカで「ジャージー」と呼ばれ…
日本では省略されて(体操着の事を)「ジャージ」と呼ぶようになった。
…日本人らしいな。