これまで、フグが毒を持つのは、外敵から身を守るため、と思われてきた。
多くのフグは肝臓や腸などの内臓に毒を持っていて、毒が効果を発揮するのは敵に食べられた後になるので、身を守るためという理由はおかしいのでは?という考えがあるそうだ。
死んでからじゃ、身を守るとは言えない、ということだ…確かに!
5月30日「チコちゃんに叱られる!」のゲストは、渋谷凪咲(NMB48)と児島一哉(アンジャッシュ)。最後の問題は「フグの毒」についてだ。
なんでフグには毒があるの?
「毒っけのない素敵な大人」という事で回答者には児島が指名される。
今回の問題は視聴者からの質問で「フグはなんで毒を持っているのですか?」だった。
児島は「毒があるものって、大体、“食べたらアンタ死ぬよ”って知らせるために…自分を守るためです」と答えるが、チコちゃんに叱られる。
○チコちゃんの答え
⇒フグに毒があるのは、毒は母の愛(supported by ダーウィンが来た!)
チコちゃんに「ダーウィンが来た!」
今回、担当スタッフを助けてくれるのはNHK自然番組30年の大ベテラン、荒井恒人ディレクター。
(※チコちゃんの番組は、自然系の問題の場合、NHKの他番組を利用することが結構多い。「ダーウィンがきた!」はその中の一つだ)
フグは自分では作っていない
数百年前に毒を身につけてから急激に進化し、様々な種類が登場したと言われるフグ。
猛毒と言えば多くの人が思い起こすのは青酸カリ。
だが自然界最強と言われるフグの毒(テトロドトキシン)の威力はその800倍以上。
人が食べてしまうとわずか1㎎で死に至る可能性がある。
実はフグは自分では作っておらず、毒を持っているエサを食べている。
1980年代に毒が入っていない人口の餌だけでフグを育てると無毒になった事からフグは自分で毒を作れないという事が判明、エサである巻き貝やヒトデなど毒を持つ生物を食べることで体内に毒を取り入れていたことが分かった。
なぜフグは毒入りの餌を食べても平気なのか?
一般的な生物の場合は毒入りの餌を食べた後、毒がタンパク質とくっ付くことで初めて毒の効果が出て痺れなどの症状が現れる。
しかしフグの場合は、他の生物とは違う特殊なたんぱく質を持っていて、その特殊なたんぱく質が毒と非常にくっつきにくい性質のため、毒の効果がほとんど出ない。
なぜふぐは体内に取り入れているのか?
これまでフグが毒を持つのは、外敵から身を守るためと言われてきた。
しかし多くのフグは肝臓や腸などの内臓に毒を持っている。
この場合、毒が効果を発揮するのは敵に食べられた後になるので身を守るためという理由はおかしいのでは?と研究がすすめられてきた。
「実は最近の研究でフグの毒の効果について新たな発見があったんです」と荒井ディレクター。
その発見をしたのが日本大学生物資源科学部糸井史郎教授。
2019年、相模湾沿岸で行った小型のフグクサフグの観察やDNA解析によりある事実が判明した。
フグの産卵後の卵は敵に食べられない理由
・オオツノヒラムシ
フグと同じ毒を持っている事が知られていた。
持っている毒の濃度としては最強。
糸井教授の調査によると、クサフグは4~6月にかけてこの猛毒のオオツノヒラムシの卵を積極的に食べることが分かった。
メスの体内の毒の量を調べたところ、今回急激に増加して冬の15倍に…しかも毒の3分の2が卵巣、つまり卵へと集められていた。
この時期クサフグの産卵の最盛期なので、おそらくクサフグは自分達の産卵に備えてオオツノヒラムシからとっているんだろう…ということ。
(そこで、クサフグの産卵の様子のVTRが流れる)
波打ち際に集まった数百匹のクサフグが、岩の上に黄色い卵を放つが、たっぷり毒を含んでいる卵は敵に食べられることはない。
効果は赤ちゃんにもあった!
さらに毒の効果は生まれた後にも…
(ここからもVTRが流れた)
クサフグの赤ちゃん、大きさ2㎜、そこの現れたメジナ子供(フグの赤ちゃんを人のみできる)が現れた。
メジナがフグの赤ちゃんを食べようとした瞬間、飲み込んだかと思ったらすぐに吐き出した。
別のメジナもすぐに吐き出して食べない。
(特殊な手法で撮影したふぐの赤ちゃんを見てみると…皮膚など体の表面に毒が集中していることがわかる)
メジナの赤ちゃんは飲み込んだ瞬間、この毒を感じ取って吐き出していた。
実はクサフグ以外にも当てはまり、トラフグの仲間も同じ様に赤ちゃんの皮膚に毒があることが糸井教授の研究でわかった。
お母さんから受け継いだ毒の鎧は赤ちゃんが自由に泳げるようになるまで敵から守ってくれるまさに母親の愛情が命を守っている。
愛ちゃん情報
クサフグのオスも毒の量が産卵期前に増え、産卵期が終わると減るという事がわかっている。
5月30日NHK「チコちゃんに叱られる!」より参照・抜粋
まとめ
フグの毒は、結局子供を守るためにとり入れられている、ということか。
かといって、子供を産んだ後も体内には毒が残っているわけで…。
それにしてもわずか1㎎で死に至る可能性があるとは…ちょっと怖いな。