ゴミ箱の蓋に付いている長方形と丸の形。
缶コーヒーを飲んだ後、このゴミ箱に空き缶を捨てる時は、無意識に丸の方に入れてしまう。
…これがアフォーダンス理論。
なんでボタンを見ると押すものだと思うの?
9月20日の「チコちゃんに叱られる」の最後の質問は「ボタンを見たら押す」ことについて。
「この中(岡村隆史、ゲストは小栗旬と宮沢りえ)で、一番手が早そうなやんちゃな大人ってだあれ?」というと岡村が「やんちゃでしたよね?昔…」と小栗を指名する。
「手が早いの?」と聞くチコちゃん。
「早くないです、全然」と否定する小栗…。
そこに、アシスタントの愛ちゃんが大きな「ボタン」を持ってくる。
チコちゃんが「旬君、これどうする?」と聞く。
目の前のボタンを見て小栗は「押す!」といってボタンを押した。
パララパパ~という音が鳴った。
宮沢が「ワォ!」という。
チコちゃんが「すぐ、押すって言ったもんね…なんでボタンを見ると押すものだと思うの?」と小栗に聞くと「なんででしょう?」と言ってまた押す。
小栗が説明しようとすると宮沢が横から手を出してそのボタンを押した。
「一回やってみたかった」と嬉しそうにいう。
改めて小栗は「子供とか、エレベーターのボタンとかすごい押したがりますもんね~。」というと宮沢が「母乳!」という。
「母乳?」とチコちゃんが聞くと…宮沢が恥ずかしそうに「あ、何でもないです」と言う。
小栗は「…物心つく前から押しますから…押せるかどうか気になるんじゃないかな?」と答えるが「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と言われてしまう。
◯チコちゃんの答え
⇒ボタンを見ると押すものと思うのはボタンが押せと誘っているから
アフォーダンス理論とは
詳しく教えてくれるのは…高千穂大学で人理学や哲学を教えている高千穂大学人間学部の染谷昌義教授。
教授は「目の前にボタンがあるとどうして私たちは押したくなってしまうのか、(というと)実は人間は物が持つ特徴を見るだけで意識することなく動作することができる」と言う。これを、学術的には『アフォーダンス理論』というそうだ。
アフォーダンス理論とは…「afford=提供する」という意味の英語から造られた専門用語。先生によると「身の回りにはこのアフォーダンスが溢れている」という。
例えば…(といって教授はガラスのコップを手にして)「このコップですが、手を開いて掴みます。でも「どのくらい手を開こうか」とか、「どのくらいの力を入れようか」とか、全く意識していなくて、これを見ただけでこういう風につかむんだという事を我々はすぐに動作することができる」という。
同様に、意識することなく
「ティッシュペーパーは、指でつまんで取る」
「ドアノブは、形に合わせて握り方を変える」
アフォーダンス理論は、これらの自然な動作を説明してくれる考え方。
「なぜボタンを押したくなるのか?と言う疑問について答えを出すとすれば、ボタン自体が私たちに押すという行動を誘っている、ということ」と教授は言う。
理性が発達途中の赤ちゃんを見てみると…
ガラガラを持てば振って遊び、ボタンを見れば、繰り返し押す…
赤ちゃんは基本的に周囲にあるアフォーダンスを片っ端から試しながら動作をどうするか学習している。
幼児用のおもちゃの中にはこのようにアフォーダンスが詰まったものがある。
これもただ遊んでいるのではなく遊びながら1つずつ動作を学んでいるそうだ。
アンパンマン おおきなよくばりボックス(1個)【アガツマ】 by 楽天
アフォーダンス理論を応用したものは街中にも…
アフォーダンス理論を応用したものは街中にもあふれている、という。
例えば「駅構内にあるゴミ箱」
「新聞や雑誌は、長方形、ビンや缶は円形に入れる」など、ごみを分別して捨てたくなるように誘っている。
アフォーダンスに操られているか検証する
アフォーダンスに操られているように思えるが本当にそうなのか?
…という事で、番組では「先生が考える理論上最も押したくなる願望にかられるボタン」と「そうでないボタン」を並べ、人はどちらを選ぶか検証した。
最も押したくなるボタンとは
先生が考える「最も押したくなるボタンはこれです」と言って自分で描いたボタンの画をみせた。
最も押したくなるボタンは…
・ボタンが盛り出している
・ボタンと土台の色が対比をなしている
・大人の腰の位置(の高さ)に設置する
と説明。
実際作ったボタンは
・色:ボタンは黄色、土台は青
・タイプ:盛り出しボタン
・高さ:約1m
比較対象のボタンは、「1色(青のみ)で盛り出しが一切ないもの」を用意した。
検証
この二つのボタンをNHKスタジオパークの入り口に設置。(「チコちゃんに叱られる実験中」と表示)より多く押されるのはどっちか…
押したくなるボタンを押すとチコちゃんの声で「普通!でもありがと」と言う声と顔が出て、押したくならないボタンを押すとチコちゃんの「変わってる~。でもありがと」と言う声と顔が出る仕組みになっている。
最初、押したくなるボタンを押す人が続いたが、押したくならないボタンを押した人がいた。
押したくならないボタンを押した理由とは?
押したくならないボタンを押した最初の人に話を聞くと…
「押したくなるボタンが押せっていう感じがしてたから、嫌だから押したくならないボタンを押した」と答えた。その他にも押したくならないボタンを押す人が続出した。
その理由は…
・青が好きだから
・近かったからかもしれない
・右利きだったもんで
など。
検証結果
3時間検証を行った結果…
時間:3時間
人数:45人
・押したくなるボタン(アフォーダンスのボタン)を押した人26人
・押したくならないボタンを押した人19人
だった。
正直もやもやした結果になった。
先生に報告
スタッフは先生に結果が6~7割だったと報告。
すると先生に「押したくなるボタンはどっち側に置いたんですか?」と聞かれ「左に置いた」と答える。
すると「右利きの人が多い中で、逆側に置いても、6~7割押してくれたということは、そのボタンに引き付けられて押したという事だと思う。あとは左右を入れ替えて同じような形で見ればもっと完璧に検証できると思う」と言われた。
なので、もう一度実験をするかどうか、気になったのだが…
※9月20日「チコちゃんに叱られる」参照・抜粋
まとめ
最後に、愛ちゃんが出てきて「担当ディレクターは働いている時間がギリギリなので、ボタンの置く位置を入れ替えての実験をもう一度行うかは慎重に検討したいと思っている」と報告する。
それを聞いた岡村「どういう志(こころざし)よ?」と不満を言う。すると「働き方改革だから」とチコちゃんがなだめた。
…視聴者ももやもやした結果だった。働き方改革はともかく、もう一度の検証はしてほしかった、と言うのが正直なところ…
靴紐の時は、結構頑張っていたのに、正直こういうのは、なんかな~、らしくないな~、と思った。