「ソーダ税」
余り聞き覚えの無い言葉だが「糖分の多い飲料に対する課税」といえば理解出来るだろう。
WHO(世界保健機関)が提唱するもので、世界ではソーダ税やポテチ税等のように、特定の飲食物に課税する動きが進んでいる。
ソーダ税
糖分を多く含む飲料(炭酸飲料・果汁入り飲料・スポーツドリンク・エナジードリンク等)に対して一定の課税をするよう促すもの。
課税により消費量が下がれば、肥満や糖尿病・虫歯の患者を減らす事に効果があるとされる。
糖分を多く含む飲料では、平均一缶あたりティースプーン10杯分もの砂糖が含まれているとの研究結果もある。
これを1日1缶以上飲む人は、殆ど飲まない人に比べて、2型糖尿病になるリスクが26%高い。
2型糖尿病は先天性の1型とは違い、食べ過ぎや運動不足による影響が大きいとされる。
ソーダ税で税収アップ&医療費削減
米の研究結果では、飲料価格を2割引き上げれば消費量は2割以上減るという。
消費量が減れば病気を減らし医療費の削減にも繫がる。
また、既に課税されているたばこ税や酒税と違い、新たに導入されるソーダ税による税収アップも見込める。
WHOによる試算だと、米国全土で10年間30ml当たり1セントを課税すると1兆7600億円の医療費が節約でき、1年間で1兆3500億円の税収があるとされた。
税収増と医療費削減と、まさに良いとこ取りだ。
世界の取り組み
世界では砂糖・塩・アルコ-ル・タバコ等、健康に悪影響を与えるものへの課税が進んでいる。
メキシコで2014年に導入された加糖飲料税。
米カリフォルニアで2015年に導入されたソーダ税。
ハンガリーで2011年に導入されたポテトチップス税(砂糖や塩を多く含む商品への課税)。
これらの背景には、こどもの肥満と糖尿病が大きく関係している。
2015年5歳未満の子供4200万人が太り過ぎだった。
また、糖尿病患者の増加も深刻だ。
1980年に1億800万人だったのが2014年には4億2200万人に増加している。
それに伴って毎年100万人以上の人々が糖尿病が直接原因で亡くなっている。
しかし一方で、国民好みへの過干渉という声も根強く、飲料や菓子メーカーは阻止しようと躍起になっている。
これに対し政府が、税収増の分を教育や公園整備等に充てると方向転換して成功した例もある。
日本の取り組みは?
さて、我が国日本の取り組みは如何なものだろうか?
厚生労働省の有識者会議では昨年「健康リスクに対する課税を社会保障財源とする事も含め、あらゆる財源確保策を検討してゆくべきである」という提案があった。
しかし担当者は「海外の状況を勉強しており、今のところ具体的な取り組みはしていない」と今ひとつ消極的だ。
今や世界に名だたる長寿国である日本だが、
この辺りの取り組みは世界に遅れをとっているようだ。