今や社会現象にまでなった
「逃げるは恥だが役に立つ」は、
タイムシフトがリアルタイムを
上回った最たるドラマだ。
なんとタイムシフト視聴率は、
全番組中トップとなった。
そして最終回直前の第9話は
総合視聴率は驚きの30.0%を記録した。
これは自己最高記録となるらしい。
それにしても30.0%とは・・・!
番組の人気を計るバロメーターとして最もポピュラーな指針は「視聴率」。
しかし、昨今のデジタルビデオレコーダーの普及により、番組を録画して後で楽しむという習慣が広がり、従来のリアルタイム視聴率だけでは正確な視聴率調査が出来なくなってきているようだ。
総合視聴率とは
総合視聴率とは、従来の「リアルタイム視聴率」に加えて、「タイムシフト視聴率(録画再生で見られた視聴率)」もカウントしたもの。
この「総合視聴率」という概念が登場した背景には、他ならぬTV局の思惑が見え隠れする。
スマホやタブレットの普及によりテレビ視聴に割く時間が短くなったと言われているが、本来テレビはもっと見られている筈だという思いがテレビ局にはあった。
そこで、視聴率調査会社のビデオリサーチが、リアルタイムだけではなく、録画番組の視聴であるタイムシフト視聴率も調査し、それを加味した新しい視聴率調査を行った。
それが「総合視聴率」だ。
逃げ恥がタイムシフト視聴率でトップ
特に連続ドラマは、録画して後でユックリ楽しむというスタイルが定番化しているのか、タイムシフト視聴率の躍進が目ざましく、
中にはタイムシフトがリアルタイムを上回る番組まで現れた。
そう、社会現象になったと言われる「逃げるは恥だが役に立つ」は、タイムシフトがリアルタイムを上回ったドラマ。
先週放送された第9話は、自己最高記録の総合視聴率は30.0%を記録した。
今後の総合視聴率の公開は未定?
折角、より実態に近い「総合視聴率」によって純粋に人気の番組が解るようになったのに、調査会社の「ビデオリサーチ」では、定期的に総合視聴率を発表するか否かは未定だという。
そこにはスポンサー企業の警戒感という、大人の事情があるようだ。
ご存知の通り、TV番組には提供スポンサーというものがある。
スポンサーは提供番組の中で独占的にCMを流せる権利を持ち、そのCM広告料は視聴率によって変動する。
言うまでも無く、高視聴率の人気番組ほどスポンサー料は高額になる。
もし総合視聴率がCM広告料の算定基礎ということになれば、今までのリアルタイム視聴率の数字にタイムシフト視聴率が上乗せされ、実質的な値上げとなるだろう。
ただでさえ録画番組ではCMを早送りしたり、場合によってはCM自体をカットして録画できる機種もあり、タイムシフト視聴率のうち実際にCMを見ている視聴者がどの位いるかはわかっていないのが現状だ。
視聴率を少しでも高く見せCM広告料を吊り上げたいテレビ局と、本当にCMが見られているのか不信感を持つスポンサー企業との溝は、総合視聴率というものによって益々深まっていく可能性があるといえる。
そんなこんなの事情で、間に挟まるビデオリサーチ社が「総合視聴率の定期的な公開」に二の足を踏んでいるというのが現実のようだ。
だが、より正確に人気度が反映される「総合視聴率」こそ、視聴者が本来知りたがっている情報である事は間違いない。
この辺りの折り合いをどうつけていくのか?
結論はもう少し先になるようだ。