電車やバスなどの公共交通機関。
お年寄りには席を譲りましょうと教えられたはず…だが、
最近ではそれが通用しないらしい。
一体なぜなのだろう?
電車で高齢者に席を譲るという行為
2013年に行われた調査で、「お年寄り等、優先すべき人がいた場合、優先席では席を譲るべき」と考えている人は約93%だった。
同様の調査で2016年の結果は約76%と、僅か3年間で17ポイントも激減していた。
また、「優先席以外でも席を譲るべき」と考えている人もやはり57%から38%へと、
19ポイント減少していた。(ヴァル研究所調べ)
そこには単なる「モラルの低下」では済まされない理由があった。
断られたのがトラウマ!
その一因が「過去に席を譲ろうとして断られた」という苦い経験だ。
同調査では、61%の人が席を譲ろうとしたが、何らかの形で拒否されたという経験を持っている事がわかった。
かくいう筆者も、やはり過去に同様の経験をしたことがある。
だから分かるが、席を譲ろうとして立ち上がり、断られたからといってまた同じ席には座れないものだ。
結果、その席はポツンと空いている。
なんとも気まずい雰囲気が漂う。
そんなトラウマがあると、やはりお年寄りに席を譲り難くなるのは事実だ。
断るお年寄りの心理
では、席を譲られて断る側の心理はどうなのだろう?
「人を年寄り扱いするな!」というのが一番多いのではないだろうか?
でも、その人と知り合いでもない限り、外見で判断するしか方法は無い。
身体的な状況や実年齢など、こちらは知る由もないのだから。
お年寄りと見えたから席を譲ったのだ。
しかし、それが結果的に相手のプライドを傷付けたのだとしたら…。
誰のせいでもないのに、お互い気まずい思いをする…。
なんとも理不尽だ。
お年寄りは「75歳」から
日本老年学会と日本老年医学会が、高齢者の定義に関する新しい提言を発表した。
それによると、従来は65歳以上を高齢者と一括りにしていたが、新しく65歳~74歳を「准高齢者、75歳から89歳を「高齢者」、90歳以上を「超高齢者」と定義した。
*でも、「准高齢者」ってなんだ?
辞書で調べると「准」は「あるものにならう、同等として扱う」とある。
ならば、准高齢者=高齢者に他ならないと思うのだが…。
…となると、高齢者に席を譲るのは75歳からということになる。
勿論、個人差があるだろうから、74歳以下でも必要な方には席を譲るべきであろうと考えるが、いずれにせよ、以前よりお年寄りが元気になってきたのは、自他共に認めるところだろう。
優先席をやめて専用席に?
席を譲る・断るでお互いに厭な思いをするのならば、乱暴だが、いっそのこと優先席を無くしてしまえばと思う。
「優先」だと、席を必要とする人がいない時は、誰でも座って良いことになってしまう。
だから「席を譲る」行為が生ずる。
「専用」にしてしまえば、「高齢者・身体の不自由な方」のみの席になる。
勿論、自己申告だ。
自分は年寄りだと思えば座ればよい。
年寄り扱いされたくなければ座らなければよい。
そのほうが余程すっきりすると思うのは、私だけだろうか?