宮崎県で、80歳の女性がマダニ感染によって死亡した。宮崎でのマダニ感染による死亡者は、これで3人目だという。
今は、山菜取りなどで山に入る人も多いだろう。改めて注意点などをまとめてみた。
マダニで女性死亡!致命率は約20%
昨年の6月に、広島県の90才の女性がマダニによる「SFTS」で亡くなったという記事を書いた。
さらに、一昨年、50代の女性が野良猫に噛まれたあと「SFTS」を発症し(後に猫にもSFTSの症状があった事がわかる)亡くなった、という事例も紹介した。
この時期になると、マダニ関連の死亡のニュースが入ってくる。改めて、気を付けなければいけない、と思う。
マダニが媒介する「SFTS」ウイルス…高齢者は重症化しやすい
とりあえず、基礎知識として覚えておくことは…
マダニに噛まれた=死亡、ではない。
だが、マダニがSFTSウイルスを保有していて、噛まれることによってSFTSウイルスが人体に入り、ウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」になってしまうのだ。
日本では…
・これまでに確認されたSFTS患者の年齢層は、5歳~90歳代。
・全患者の約90%が60歳以上。
・亡くなった患者は50歳以上。
…ということで、特に「高齢者は重症化しやすい」と考えられる。
ちなみに「SFTSの致命率は約20%」 ※以上厚生省のデータより
「SFTS」ウイルスとは
「SFTSウイルス」を保有しているマダニ。人間がマダニに噛まれ、「SFTSウイルス」に感染すると「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」になる。(日本では「フタトゲチマダニ」と「タカサゴキララマダニ」という種類のマダニがヒトへの感染に関与しているそうだ)
・潜伏期間は6日~2週間
・高熱、吐き気、腹痛などをおこす
・致死率は6.3〜30%
・治療は対症的な方法しかない。
・有効な薬剤やワクチンはない ※国立感染症研究所HP参照
マダニの活動が盛んになるのは、春から秋
○マダニがいる場所…草むらや藪
なので、草むらや藪に行く時は…
○服装…長袖、長ズボン、足を完全に覆う靴を着用し、肌の露出を少なくする。
・首にタオルを巻くか、ハイネックのシャツを着る
・シャツの裾は、ズボンの中に入れる
・シャツの袖口は、軍手の中に入れる
・ズボンのすそに靴下をかぶせ、靴の中に入れる
・服は化学繊維などダニが付きにくいものを着る
他「DEETを含む虫よけスプレー」も効果があるらしい。
○家に戻ったら…
・衣服を外で叩いてから、家に入る。(万が一、マダニが服についていても、落ちるかも)
・シャワーなどを浴びて、身体にマダニが付いていないか、調べる。
○ペットも注意!
猫や犬は、外から戻ったら、ブラッシングをしてマダニがいないか、確認する。
獣医さんでダニ(ノミ)の駆除剤(首の背部にたらすタイプなど)を貰う、などの予防方法もあるそうだ。
これはペットの「皮膚に直接滴下するだけ」という簡単なもの。小型犬用もある。
もし、マダニに咬まれたら?
・マダニを無理に取ろうとしない。(刺激すると、細菌が入る可能性がある)
・咬まれたまま、皮膚科や外科に行く。
・マダニに咬まれた後、3週間程度は体調に気をつける。
(発熱、関節痛、頭痛、腹痛、下痢など全身症状がある場合は内科)
・いつ、どこを咬まれたか、メモっておく。(受診時、医師に報告)
患者のデータ(宮崎県の資料参照)
『発症時期』
4月から9月にかけて多く発症している。
(特に5月が多い)
『年齢別』
年代は30代から90代。
(特に70代が多い)
『感染推定地』
・農作業
・山林作業
・庭仕事
・散歩
こうなると「高齢者の山歩き」は遠慮して欲しくなる。が、せめて服装だけはチェックしてあげたいものだ。