フジテレビの「ミスターサンデー」で取り上げた「クレプトマニア」。初めて聞く言葉だった。
わかりやすく言えば「万引き」の病気。
万引きをやめたくても止められないというのだ
ただ単に「スリル」を味わう為とか、「ストレス解消」とかいう単純なものではない。
(番組の途中から見たため)記憶に残った部分を振り返ることしかできないが、少しおさらいをしてみた。
クレプトマニアとは
窃盗症(万引き症)のこと。万引きがやめられず、何度もしてしまう、精神障害の一種。
番組では、そんな患者のいる病院や、元患者を通して「なぜこうなってしまったのか」ということなどを紹介していた。
摂食障害が引き金に?
病院の先生によれば、クレプトマニアの患者には摂食障害が多いという。番組に出ていた病院の患者の多くは(確か7割が)過食症か拒食症なのだという。
元患者だという女性の場合
現在40代の主婦。彼女によれば…
子育て中に、夫が協力してくれず、ストレスが溜まっていた。その内、痩せてきた事に気付いた。
以前から太っていたため、もっと痩せなきゃと思うようになって、ご飯を食べなくなった。160㎝以上の身長で体重は3キロ台にまでなったという。
(これが、拒食症か。)
そんなある日、1個のパンを万引きした(彼女パンが好きらしい)。万引きしても見つからずその店を出ることができたため「意外とできる」と思った彼女は、その行為がエスカレートしていったという。
一日に、お店を何件も「はしご」し、籠ごと持ちだすように…。車の中の空いてる席は、万引きした店の籠だらけ。欲しいもの、高価なもの、絨毯まで持ち出すようになった。
だが、そのうち見つかり、警察に連れていかれ、旦那が呼ばれた。「お金は足りてるはずだ、なぜ?」と責めたらしい。
ま、誰でも最初はそう聞いてしまうかもしれないな。
その後も、やめられず、実家の母までが呼ばれることになり…保護監察付きで、執行猶予になる。
見ていて不思議だったのだが…これほど、お店に気付かれないものなのか?ということ。
籠を持ったまま、レジに行かず外に出る、あの大きなロールになった絨毯も持ち出したという…
「堂々としていたら意外と気付かれなかった」と話していた。コツはそこか…と感心する場合ではない。
だからこそエスカレートして、やめられなくなる、ということなのだ。
なぜエスカレートするのか
病院の先生によれば、摂食障害は基本的に飢餓状態。万引きするのは「物がなくなると落ち着かない、不安になる」から、らしい。だから、万引きして「物があると思うと落ち着く、だからため込む」らしい。
この女性の場合、家の中や、冷蔵庫に万引きしたものが溢れるくらいだった、という。
万引きしてきたものが、冷蔵庫にきちんと入りきらず、閉まらないドアをガムテープで止めていたこともあったらしい。
家の中にこれほど物があっても、旦那は何とも思わなかったのだろうか?どれほど無関心なんだ?と、ちょっと気になった。子供も確か3人いた。子供たちは、どう思っていたのだろうか?
刑務所に入ると300万税金がかかる、だからあえて…
最初は保護監察付きで、執行猶予をもらっていた。この場合、次、捕まったら、当然刑務所行きだ。
しかし彼女は、また万引きをしてしまい、後に裁判所から出た判決は…「罰金刑」だった。
へぇー、そういうことも、あるんだ…と初めて知った。
彼女の弁護士は言う。
「刑務所に入れば、一人、年間300万円の経費が掛かる。それは国民の税金で賄っている。」
「被告が自分のお金で、病院にはいり、病気を治すようにすれば、それに越したことは無い。」みたいな…ことを言っていたような気がする。
なるほど、単純明快な答えだ。もちろん条件はあるようだが…。
刑務所に入ったところで、それが治るという保証はない。病気と認識し治療しない限り、これは続くということだ。なら、刑務所に入ることより病院に入った方がいい。
この女性も、裁判前から病院で治療を受けていた。
最近は、裁判所の判決が、このように、懲役刑ではなく「罰金刑を選択される」例が多いらしい。
万引きされる方は…
病気だからと言って、もちろん万引きは許されるものではない。
ストレスや家庭内事情なんて、お店には関係ない事なのだ。
店によっては、万引きされる金額は、死活問題だと聞いたこともある。
もちろん(生活苦が理由でなければ)万引きされた物の金額は、返してもらえるだろう。
だが「すみませんでした。病院に入ります。」ではちょっと納得できないのでは、ないだろうか?
刑務所に入って、罪を償うという「痛み」を味わってほしいという気持ちも少しはあるのではないだろうか。
彼女は、病院を退院し、今は普通に生活をしているそうだ。
ただ、買い物した時は、その時ごとに電話で弁護士に報告をしているという。
万引きのきっかけとなったパンが欲しい時だけは、自分が店に入らず外にいて、同伴の母に、買ってもらうようにしているという。
クレプトマニア…
彼女を見る限り、残念ながら、病院に入ったところで完治の保証はなさそうだ。が、少しは収まる、ならこれもあり、なんだろうな。