改名のきっかけは「こち亀」だった。
山梨県の高校3年の男子が、自らの名前「王子様(おうじさま)」が恥ずかしいという事で家庭裁判所に改名届けを提出、この度認められたという。
自分の名前を気に入っていないという人は、多いだろう。だが親が一生懸命考えてつけてくれたのだと思えばそう簡単に嫌だとは言えないものだ。
それに改名する手続きが難しいのではないかと思いがちだ。しょうがないと諦めている人も多いだろう。このニュースはそんな人達に希望を与えるに違いない。
王子様から肇に改名
改名した赤池さんのツイッター
ハァァーイ!!!!!
名前変更の許可が下りましたァー!!!!!!!! pic.twitter.com/jusyxdSHtQ— あかいけ (@akaike_hardtype) 2019年3月7日
改名の許可が下りた裁判所の書類と共に、
ハァァーイ!!!!!
名前変更の許可が下りましたァー!!!!!!!!
と、コメント。
いかに嬉しかったかがわかる投稿だ。
なぜ王子様(おうじさま)とつけられたのか
母親が「自分にとっての唯一無二の存在。私にとっての王子様」と独断でつけたらしい。その気持ちだけは、わからないわけではない。だが、この「王子様」という名前には「子供のために付けた」のではなく母親が「自分のためだけにつけた」というエゴをどうしても感じてしまう。
「王子(おうじ)」も気になるが、「様(さま)」まで付けてしまうあたり…何を考えているんだ?と思わずにはいられない。しかもこれが役所に届けても受理された、というのもちょっと驚きだ。
「王子様」という名前で恥かしかったエピソード
赤池さんによればこの名まえで
・初対面の人や自己紹介で名乗ると笑われる。
・会員証を作る時「本名ですか」と聞かれる。
・勝手に写真が出回り、地元で有名人になる。
・知らない人から「王子様だ」と言われる。
・病院で名前を呼ばれ恥ずかしい思いをする
ただ、一番気になる「いじめ」に関しては…「友人の名誉のために言っておきます。いじめられたことはなかった」と笑顔で答えていた。TVでも見たが、これは、彼の人柄の良さがうかがえる一コマでもあった。
改名のきっかけは「こち亀」
彼が中三の時、漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所(通称:こち亀)」に登場人物が改名するというエピソードがあって、それがきっかけとなり、改名の手続きを調べたという。
私は「こち亀」はたまにしか読んでいなかったので、詳しくはわからないが、色々調べてみると『170-2「『改名くん』の巻」』というのがあって、そこには、主人公の両津に無理やり「丸井ヤング館」という名前にさせられた警官「寺井洋一」のエピソードがあるらしい。
さらに「法条正義」という両津の後輩警察官が凄苦残念(すごくざんねん)という名前に強引に改名させられた、ともあった。(※これが、彼の言うエピソードかどうかはわからないが…)
「肇」になる手続き
改名は15歳以上だと、自分で出来るそうだ。
だが、彼は、高校生でいる間に変えてしまうと、友達が戸惑う、学校の手続きが大変だろう、という事で大学生になるタイミングで変えようと思った、という。
快諾した父と最初は渋ったという母親も、結局は彼の意見を尊重し同意。両親の許可を得て、名まえをつける際は知り合いのお坊さんに相談したという。
そして、新しく名乗る名まえを「過去の思いを断ち切って新しい人生を始める」という意味で「肇(はじめ)」とした。「肇」は彼が尊敬している経済学者「河上肇さん」と同じ漢字にしたそうだ。
・今年の2月に甲府裁判所に申し立てをする。改名の理由には「みじめな思いをした経験があるので、これからの長い人生でこのようなことが起こらないように」と書いたそうだ。
・申し立ては3月5日に認められる。
・3月7日には新しい名前「肇」を登録。
費用は彼自身が行い3000円未満で、それほど大変ではなかったそうだ。
改名は思ったほど簡単には認められない
参考程度に、改名の手続きについて、書いているサイトを見たが、改名はそれほど簡単には認められないようだ。
戸籍法 第百七条の二
正当な事由によつて名を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。
正当な事由=社会生活において支障を来す場合をいい、単なる個人的趣味,感情,信仰上の希望等のみでは足りない by ウィキペディア
自分の名前変えたいと思う理由が、裁判所で認められなければならない。単なる個人趣味ではみとめられない。もちろん、それはそうだろう。大した理由でもないのに変えられたら役所も大変だ。
彼の思い
彼はツイッターに、こう書いている。
彼は、キラキラネームを付けられて苦しんでいる人の励みになればと思い、メディアに出ているようだ。
これは、これから、生まれてくる子供にキラキラネームを付けようとしている親や、キラキラネーム苦しんでいる人へ、キラキラネームで苦しみ克服した彼の心からのメッセージだ。
届いて欲しい、と思う。
まとめ
「こち亀」は、1人の青年の苦しみを救った。これは、ある意味すごい事だと思う。こち亀がなかったら、赤池さんはもしかしたら今でも、この先も「王子様」という名前で、辛い思いをしていただろう。
そして…
子供が生まれた時はキラキラネームをつけて満足していたが、大きくなるにつれて名前で悩んでいる子供を見て後悔している親もいるかもしれない、そういう意味では、子供も親も「改名」の可能性を知って喜んでいるのではないだろうか。
ちなみに15才未満なら親が代理で出来るそうだ。
それにしても「様」までつける親って…
理解に苦しむ。