先日相撲の千秋楽で優勝した白鵬のインタビューを聞いた。今回の日馬富士の騒動について語り、その後万歳三唱した時に、あれ?これ大丈夫かな、と感じたのは確か…。
案の定、相撲協会は白鵬に対して「けんせき処分」を科すことに決めたらしい。
相撲でけんせき処分?…調べてみた。
けんせき処分とは
日馬富士が貴ノ岩を殴ったことに対して、世間では色々な話が飛び交った。毎日、毎日、情報番組やニュースで取り上げられ、少々うんざりしていたが…
折しも九州場所のさなか、力士たちはいつもと違う空気の中でかなり戦いづらかったに違いない。
けんせき(譴責)とは
けんせき(譴責)とは、「厳しく注意すること」という意味がある。
相撲協会の処分には
・譴責
・給与手当減額
・出場停止
・番付降下
・解雇
・除名
がある。力士の除名、解雇、降格、謹慎…はたまに聞くが…けんせき処分は初めてだ。
こうしてみると、今回の白鵬は、一番軽い処分ということになる。
ま、これくらいなら、白鵬もすんなり、受け入れるだろう。
日馬富士騒動の中、白鵬が優勝!
日馬富士騒動のしかも現場にいた白鵬、物言いを受け入れられなかった時の取り組みは、さすがに集中できなかったか、と思ったものの、なんと14勝1敗という成績で、40回目の優勝を成し遂げた。
これは、すごいことだと思う。誰がなんと言おうと、すごいことだと思う。
言い方は悪いかもしれないが、日本人の誰もできなかったことだ。
日馬富士のことがなかったら、もっともっと盛り上がったはずの40回目の優勝だった。
嬉しかったはずだ、感謝もしたかったはずだ、このウサを晴らしたかったはずだ、彼なりに考えた行動だったはずだ。だから万歳三唱したのだと、思った。
白鵬のどこがいけなかったのか?
彼は、インタビューの中で
「…場所後に真実を話し、うみを出し切って、(暴行問題の当事者である)日馬富士関と貴ノ岩関を、再びこの土俵に上げてあげたいと思います」と言った。
また「東京オリンピックまで現役を続ける」「幕内1000勝」といい、最後に観客と共に万歳三唱を行ったのだが…
「何か自分でできるような感じでね。そういうことを言うのは横綱としておかしいのではないか」※横綱審議委員会の北村正任委員長
「土俵に戻る戻らないは、相撲協会が決めることで、横綱が決めることではない。最近の白鵬は少し傲慢ではないか。それを許している協会にも責任がある」※スポーツ評論家 玉木正之
「暴行現場に同席した当事者の一人という自覚があれば、冗舌に語ることが許されないのはわかるだろうし、万歳をお願いできるわけがない。独善的な行動で問題の深刻さを全くわかっていない」※やくみつるby朝日新聞
という有識者?達のコメントも後日ピックアップされていた。
要は…
横綱が「再びこの土俵に上げてあげたいと思います」と言ったことをそのまま受取り「そんなこと横綱が決められることではない」と言いたいらしい。
これ、私もTVを見ていたので聞いていたけど、白鵬は自分にそんな権限があるという意味で言ったわけじゃない、って…思ったけど?。
そうなれば良い、そうなって欲しい、と願望を言ってたまで…
だから「ちゃんと真実に話すよ。そうすることで二人がまた土俵にあがれると思うから」と私には聞こえたが?だから、会場は声援で盛り上がった。頑張れよ!相撲界!という感じだったのに…
それを言葉のニュアンスを理解しようとせず、彼らは「思い上がっている」と決めつけて、水を差しているように私には見えるのだが、どうだろう。
万歳三唱に関しては…
白鵬なりに考えた「盛り上げたい」というパフォーマンスの一つに見えた。その証拠に万歳の前に「来年も大相撲よろしくお願いします」とも言ったはずだ。
騒動の現場にいた当事者であると同時に大相撲の代表者でもある。横綱として、この場や状況をどうしたら良いのかを考えた結果が、相撲協会や関係者とずれていただけだろう。
あとはちょっとだけ勢いに乗ってしまった…という感じか。おめでとう!という気持ちをこっちも一緒に表現できたので、私は、別に気にならなかったが。(テレビのこっち側で万歳してたし、笑)
さらに「うみ」という言葉に反応した関係者がいたな。誰か忘れたけど…「相撲界の中に『膿がある』という言い方をしたが、横綱がいうことではない」みたいな…
そういう人には、逆に「膿があるんだろ?だから貴乃花が反発してるんだろ?」と、言い返したくなる。
結局、日馬富士はすべての責任をおって横綱を引退した…
潔すぎ、残念だ。
言わせてもらえば…「横綱の品格」ってなんなんだ?
私は普段相撲は、見ない。見ないだけに、時々相撲界って独特な世界だな、と思う。
・まず、お金。懸賞金や、後援会、動くお金のケタ違いの額にいつもびっくりする。
・相撲は、日本古来の神事。なのに武芸で武道でスポーツ…
・横綱は一種の神様とも言えるらしい。だから、品格がどうのこうの、とうるさい。
でもそう言っているのは、横綱になったことがある人より、なったことのない周りの人間の方がうるさい。
横綱になったことがない人が横綱を語るな!と(ちょっと)言いたい。
品格だの、らしさだのあやふやな表現で、何を言っても批判される世の中で…誰もが納得する正解なんてあるのたろうか?
横綱になるには、大変な努力と才能と力量がなければなれないんだろ?
誰でもなれる、っていうものじゃないんだろ?
横綱になってプレッシャーを感じ、相撲界を見て、ファンを見て、初めて横綱はこうじゃなきゃな、と感じるものじゃないのだろうか。
横綱は相撲だけ取ってれば良いのか?
彼らが頑張らないと、相撲協会は成り立たないんだろ?
時代は変わっていく、ファンも変わっていく、考え方もかわっていくものなのに、相撲って昔からこうでなければならない、という形に拘って、理想を押し付けているから、歪(ゆがみ)が生まれ、そこから問題も起きやすくなるんじゃないのか?
だから貴乃花が改革をしたい、という気持ちはなんとなくわかる。今回のやり方が決して正しいとは思えないが…
あと、一番気になるのが、根底にあるような気がする「相撲は日本のもの」という考え方。
それが分るのは稀勢の里が横綱になった時の異常な盛り上がり方だ。
稀勢の里は横綱になって、まともに試合ができているか?怪我ばかりで、横綱といえるのか?…こんなこと言ったらファンに叱られるかもしれないが…
ほんとに横綱ってなんなんだ?
サッカーや野球、バスケットだって外国人選手がいるように、相撲界でも外国人力士を受け入れた(力士になる日本人が少ないからかどうか知らないが)。その時点で相撲は国際的なスポーツだと、認識すべきなのに、どうしても日本人びいきな空気が消えない、悲しいことだ。
40勝…相撲の国の日本人の誰が、この偉業を達成できる?なぜ、もっと心から暖かく讃えてあげられない?
…私は、相撲ファンではないが、今回の日馬富士、白鵬どちらも堂々としていたことに感動した。彼ら以上に今、横綱らしい横綱が、日本にいるだろうか?
※あくまでも私個人の勝手な意見です。