例えばパチンコ依存症の人の場合「1万円負けたけど、次の日に必ず取り返す」とよく言う。
冷静に考えれば、確率的におかしいとわかるはずだが…
これを「負けの深追い」と言うそうだ。
ギャンブル依存症とは
国内にカジノを解禁する環境整備の一環として国も、対策強化へと動いている、と言われる、ギャンブル依存症。
典型的なハマるパターン
1、10代の終わりころ、友人との付き合いでギャンブルを覚える
2、就職後、使えるお金が自由になるとのめりこむ
3、その後借金がかさんで泥沼にはまる
なぜ、やめられないのか
脳内の「報酬系」と呼ばれる部位の機能異常。
1、ギャンブルを始めた頃に大もうけする(よく言う『ビギナーズラック』)と、脳の「報酬系」が反応してドーパミン(快楽物質)が大量に放出される。
2、ギャンブルを繰りかえしているうちに反応が鈍くなりドーパミンが出なくなる。
3、満たされない「快感」を求め、ますますのめり込んでいく。
本人は「依存症患者」だとは認めたがらない
依存症患者の特徴
・病気だと分からず「(自分の)性格が悪い」「意志が弱い」と悩んでいる時期が長い
・罪悪感ばかりが募ってしまう←危険
久里浜医療センターの診療方法
国立病院機構久里浜医療センター(さまざまな依存症対策の拠点)ではギャンブル依存症患者の治療を行っている。その診療内容とは…
診断方法
最初は…
・何を? 例)パチンコ、競馬など
・いつ頃から?
・どのくらいお金を使って?
・どう問題化してきたか
など、具体的に聞く
ギャンブル障害の診断基準
9項目の「問題賭博行動」(米国精神医学会によるギャンブル障害の診断基準)
- 興奮したくて掛け金を増やす
- やめると落ち着かない、いらだつ
- 減らすか止める努力をして失敗
- 絶えず賭博の事を考えている
- 無気力・抑うつ気分の時にする
- 失った金を別の日に取り戻そうとする
- やってない、とうそをつく
- 人間関係や仕事など危険にさらす
- 他人に金を出してくれと頼む
このうち4項目以上当てはまるとギャンブル障害の疑いがある。
※うつ病など、ほかの病気が併存していないかも注意する
この「問題賭博行動」を判断材料として、さらに…
「診察」
「心理検査」
「頭部MRI」
「心電図」
などの結果を踏まえ、診断を確定していく。
通院プログラム(週1回で計5回)
・来院2回目以降に治療を始める。
・認知行動療法を用いた1回60分のプログラム
認知行動療法とは
・問題をきちんと整理、理解し、どう適切な対応を取るか、何に注意すればいいか、を学ぶ
・問題賭博行動があることを理解し、メリットとデメリットを自覚してもらう
・フラッシュカードにメリットとデメリットを書かせて、やりたくなった時に見てもらう。
(人によっては、カード内容は、家族の写真や本人にとってインパクトのあるものを使う)
・自分以外の患者の話を聞く(ギャンブル依存の悲惨さを客観的に実感してもらう)
※借金などの生活問題については精神保健福祉士が相談に乗る。
※入院治療プログラム(約9週間)もある
ギャンブル依存症は「回復可能な病気」
ギャンブル依存症は「回復可能な病気」という視点で早めに治療することが大切。なので、早い段階で、周りの人が専門機関(精神保健福祉センター、保健所)に相談したり、本人を説得することが望ましい。
横浜で国際フォーラム開催
「第1回国際ギャンブル・ネット依存フォーラム」
期日:2月25日 9:00~15:00
場所:横浜市西区みなとみらい3の1の1
「はまぎんホール ヴィアマーレ」
・イギリス、ドイツ、韓国のギャンブル治療、研究者の講演
・国内からの発表
・ギャンブル・ネット依存の予防についてのシンポジウム
詳しくは⇒http://www.kurihama-med.jp/news/20180225_no1_w_gamble_f.pdf
入場無料なので依存症患者や家族にも来場を呼び掛けているそうだ。
まとめ
ギャンブル依存症は、アルコール依存症などと比べると診療を受けていない患者の割合が高いそうだ。これまでアルコール依存症のように「病気」というとらえ方をしていない人が多いからなのだろう。
以前ギャンブル依存症は治らない、と聞いていた。だが、病気と認識すれば、治療できるし、回復可能だという。診療に費用がどれだけかかるのかは、わからないが、ギャンブルで無くす金があるなら、治療できないことはないだろう。
参考データ
ギャンブル依存人口
・ギャンブル等の依存が疑われる状態になった経験者…約3.6%(人口換算320万人)
・ギャンブルの中で最もお金を費やした対象…パチンコ・パチスロ(全体の約78%)
その理由
日本のパチンコ店は、全国どこでもありいつでも利用できる環境があるため
久里浜医療センターを受診する人は…
・年代…20~30代が中心
・男女比…9(男):1(女)
※以上、時事通信社記事参照