「出発の酒」のレビュー
今回の「出発の酒」も、原作を膨らました面白い作品に仕上がっていた。
今回紹介されたお酒は「グレンフィディックとヴァルベニー」。
同じ原材料、仕込み水を使って造られた2種類のシングルモルト。
製造方法の違いで、まるで性格の違うものに仕上がっている。
「出発の酒」のポイント
同じ原材料、水をで造られた2種類のシングルモルト。
その2本を引き合いに出して、出来が悪いと嘆く双子の兄弟の弟二郎の進むべき道を照らすマスターとメガネさん。
ただ、弟の藤井二郎役を演じた若手俳優の尾上寛之が、ちょっと力み過ぎていたかな?という感じがした。全体的に演じ方が、少しオーバーだったかなと…
酒役:グレンフィディックとヴァルベニー
ここで、グレンフィディックとヴァルベニー…を、ちょっと深堀り!
「グレンフィディック」という酒
グレンフィディックは、世界で一番売れているシングルモルトウィスキー(といわれている)。
スペイサイドのモルトで、酒名のグレンフィディックとはゲール語で「鹿の谷」の意味。
その為、ラベルには牡鹿のシンボルマークが付けられている。
その香りは洋梨や青リンゴのように新鮮でフルーティー。
その味わいは、はちみつやナッツのような甘みと、僅かな酸味と、ほのかな苦味が渾然一体となっていると称される。
作中のボトルは
「グレンフィディック・スペシャルオールドリザーブ」
うっすらとAlc表示が43%と見えるので、43度で売っていた旧バージョンのものと思われる。
「バルヴェニー」という酒
バルヴェニー蒸留所は、姉妹蒸溜所であるグレンフェディックの敷地内に建っている。
「バルヴェニー」とは、スペイサイドのダフタウンにある古城の名前で、「山の麓の集落」の意味。
職人によって丁寧に手造りされている。
伝統的なフロアモルティング製法。
麦芽の乾燥は自社で行っている。
蒸留釜も「バルヴェニーボール」と呼ばれる「ネックにこぶ」が付いた独特のものを用い、豊かで重厚なモルトウィスキーを生み出している。
「ヴァルベニー・シングルバレル15」は、1つの伝統的なオーク樽からのみボトリングされた15年熟成のシングルモルト。
1つの樽から350本足らずしかボトリングされない為、手書きのナンバリングが施され唯一無二の限定品ボトルとなる。
バニラの香り、蜂蜜のような甘み、コクのある複雑な味わいを持つ。フィニッシュも長く複雑な余韻。
メガネさんの素性
ドラマの中で松ちゃんが「大体、メガネさんだって東大出てる訳じゃないんだから」と言った時にマスターが「そうなんですかね~?」と意味深な発言をする場面がある。
普段から得体が知れず、正体不明のメガネさん。
しかし原作で唯一学歴に触れている場面がある。
第17巻PART220
「とてつもないという名のワイン」
この中でメガネさんは、アメリカンスクールのカレッジを喧嘩が原因で1年で退学になり、その後LAの大学に受かった。
もちろん試験は全て英語。
つまり、メガネさんは英語ペラペラ、その上「もっと得意なのはスワヒリ語だ」と意外な過去を披露している。
案外マスターは、この辺の事情を知っているのではなかったか?というのが、前出のセリフを聞いていて
思ったことだった。
次回のレモンハート
「カクテルグラスにさよなら」
数あるレモンハートの中でも私の好きなストーリーの一つだ。
重い雰囲気で別れ話をする男女。
女性が去り、男性が追いかける。
その様子をマスターは心配そうに見つめる。
実はマスターはその男性、佐野から彼女の松坂ミドリに関して相談を持ちかけられていた。
その返事としてミドリにあるカクテルとグラスをプレゼントしていたのだが…
カクテルのネーミング、カクテルグラスの使い方がとてもお洒落だなと感じるストーリーだ。