「停電の夜に」レビュー
原作タイトルは「熱帯夜の客」。
基本のプロットは原作と同じ。
しかしながら、今回は温水洋一さんの為の物語のような印象がある。
「停電の夜に…」のあらすじとポイント
主役は、温水洋一さん演じる「ユーレイの友部正夫」。
ある激しい雷雨の夜(原作では「蒸し暑い夜」)…
雷のせいで停電のレモンハート。
ローソクの灯りがゆれる。
カウンターでメガネさんとマスターは「去年のあの夜のこと」(原作では6年前)を思い出していた。いや、思い出したことを後悔していた、という出だしなのだが…
筆者(私)はカウンターに立っているローソクに注目した。
よくある円柱型のローソクではなく、上に行くにしたがって逆末広がりのように太くなっている。
あのフォルムは紛れも無く「百匁蝋燭(ひゃくもんめろうそく)」。
あまり見ないが、なかなか遊び心のある小道具だなと思った。
ちなみに…
1本で重さが百匁(375g)もある大きなローソクなのでこの名がついたとか。
ところで、そこへ「ユーレイ」が登場するんですが…
温水さん、いい味出してましたね。
ユーレイなのに…
何故か笑ってしまいました。
「バーボン」と「コーンウィスキー違い
コーンウィスキー好きのユーレイは、「プラットバレー・ストーンジャグ」をオーダーする。
マスターのウンチクによると…
コーンの含有量の違い
原料グレインとしてのコーンの含有量が
・51%以上80%未満のものをバーボンウィスキー
・80%以上のものをコーンウィスキー
と呼びます。
が、実はコーンの配合割合だけでなく、もう一つ大きな違いがあります。
それが「樽熟成」です。
樽熟成の違い
・バーボンウィスキーは「内側を焦がした新樽」で熟成させなければなりません。
それに対して
・コーンウィスキーには樽熟成の義務はありません。
もし熟成させるとしても、焦がした樽での貯蔵をしてはならないと決められています。
味の違い
一般に
・バーボンには「マッタリしたコクや独特の癖がある」
・コーンウィスキーは「サラッとした甘み」があり「マイルドで非常に飲みやすい」
という特徴があります。
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この熟成方法の違いによるところが大きいと言えるでしょう。
そんなところが、ヘビーな酒が好みのメガネさんに言わせると「メジャーなバーボンに比べると、マイナーな安酒の印象」となるのでしょうか?
作中の
「プラットバレー・ストーンジャグ」は熟成の義務はないのですが、オーク樽で3年熟成させ、まろやかなコクのある味わいに仕上げた逸品です。
また、「プラットバレー」とは蒸溜所のあるウエンストンのプラット渓谷(バレー)にちなんでいます。
メガネさん、こんな怖がりだったかな?
作中では「売れない小説家」の設定の友部正夫。
皮肉にも亡くなってから彼の小説が売れ、その印税でユーレイの友部さんが「去年のツケ」も一緒に払った…
というのは、中村梅雀さんのアドリブかなと思ったのは私だけでしょうか?
それにしても、全編通してメガネさんの怖がり方が大袈裟すぎ。
本来は、もっとクールなはず…
イメージ壊れた!