厚生労働省は先月、禁煙外来での医師の直接面談を必要としない「完全遠隔禁煙診療」を認める方針を発表した。
それに伴い、日産自動車・日本航空・リクルートなどの大手企業18社の健康組合が連合体を組み、企業として禁煙治療に取り組む考えを示した。
遠隔禁煙診療とは
禁煙がグローバルスタンダード化してきている現代、「禁煙外来」を設けている病院も増えてきているが、「タバコは止めたいが、わざわざ病院に行ってまで・・・」と思っている人は多い。
そんな中、医師の直接面談を受けなくても禁煙外来の治療が受けられるのが「遠隔禁煙診療」だ。
勿論、診療には健康保険が適用される。
但し、厚生労働省が健保組合の事業として「遠隔禁煙診療」を認めるには、「企業の健康保険組合など、信頼できる実施主体が情報通信技術(ICT)を使う場合に限定する。」という条件があるようだ。
遠隔禁煙診療の方法
医師がパソコンやスマホのビデオ通信機能を利用して、1回あたり数十分間のオンライン診察で治療法を指示する。
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診察は8週間を目処に4回実施され、必要があれば禁煙治療薬を処方。
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薬は患者の職場や自宅に配送される。
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その後36週目まで禁煙継続をメール確認する。
というもの。
遠隔禁煙診療の効果
従来の禁煙外来は、12周間で最大5回の来院に健康保険が適用される制度になっている。
しかし現実には、多忙などの理由で通院の継続が難しく、厚生労働省の調査では64%の患者が治療途中での脱落を余儀なくされている。
ところが、「遠隔禁煙診療」は通院の必要がなく、薬も配送されるため、治療の継続率は大幅に増えることが期待できそうだ。
また診療報酬も、通常の通院に比べて1割以上安く出来るという試算もある。
今回の大手企業18社の健康保険組合の連合体では、2020年までに加入者58万人のうち5%、およそ3万人の禁煙を目指すとしている。
マレーシア、ドイツ等と並んで受動喫煙対策が世界最低レベルの日本。
遠隔禁煙診療が、この不名誉な評価を少しでも早く改善できる一助になればと期待したい。