将棋の世界は礼を重んじる。
藤井四段が上着を着た時“決まったな”と確信したのは、もちろん私だけでは無いだろう。。
竜王戦決勝トーナメント2回戦。
終盤戦、佐々木五段有利の形勢は結局、最後まで変わらなかった…。
10時間以上、101手で勝負が決まった…
数分前から勝負は、ほぼ決まっていた。
おもむろに藤井四段が上着を着た。
“いよいよ、彼(藤井四段)の「負けました」が出る”と思った。
それでも、傍らのお茶を飲み、ハンカチで口を拭い、盤面を見つめる。
すかさず佐々木五段も水をコップに入れ、飲む。
2㍑(?)あったペットボトルの水も、もう残り少なくなっていた。
やがて、解説の声も止まる。
そして…
101手目 佐々木五段が 3ニに 飛車を指す。
深々と頭を下げる藤井四段(声はきこえなかった)。
対する佐々木五段も頭を下げた。
21時31分、朝10時から始まった11時間以上にに及ぶ対戦はここで終わった。
30連勝ならず!
中学生でプロとなり、破竹の勢いで、並み居るプロを破り29連勝してきた、藤井四段。
竜王戦決勝トーナメント2回戦は、かなり注目されていた。
藤井四段が佐々木五段に勝てば、公式戦30連勝と新たな記録が生まれるかどうか、という戦い。
将棋ファンならずとも注目したこの戦いは「連勝を止める気で挑む」と言った佐々木五段がその言葉通り勝利した。
佐々木五段、顔もいいが腕もいい!
実は以前、藤井五段は藤井四段(プロ入り前)と対戦(昨年5月「第23回岡崎将棋まつり」)していて、その時も勝っている。
将棋を知らないにわか将棋ファンとなったうちのカミさん。実はこの試合のVTRを見て「かわいい藤井四段」から「イケメン佐々木五段」に乗り換えた(笑)
佐々木勇気五段とは
彼の力の凄さが一番わかるのは何と言っても
「渡辺竜王」「佐藤天彦名人」「羽生善治三冠」を破ったこと。
将棋界では、若手のホープの代表だ。
攻めが得意と言われていて、「勇気流」と呼ばれる横歩取りの戦法も持っている。
今回もその戦法で行けば勝算あり、という噂があった。
藤井四段が29連勝を決めた部屋の片隅で鋭い眼光で彼を見つめる「イケメン」として注目も集めていた彼。この試合への彼の並々ならぬ意気込みが感じられるシーンとして記憶していたファンも多いだろう。
佐々木5段は現在22歳。
1994年ジュネーブ(スイス)生まれ。
2004年小学校4年…「小学生名人戦」で優勝。
2008年4月三段になる(最速タイ記録)。
2010年四段でプロとなる。
勝率は6割8部。
佐々木五段(勝利後)のコメント
「もちろんプレッシャーは感じましたが、私たちの世代の意地というのも見せたいとは思っていましたので。(藤井四段にとっての)“壁”になれたのは良かったかな、と思いましたね」 産経ニュースより抜粋
試合が終わった後、数多くのカメラマンや記者(32社100人くらい?)がどやどやと部屋に入ってきた。
TVの前にたつ記者達…(見えないぞ!)。
感想戦をしながら、取材を受ける二人。
10時間以上の戦いの後の感想戦と取材…
きついだろうなぁ。
“感想戦はともかく藤井四段は明日学校なんだから(たぶん)もう勘弁してやれよ。
(ま、一応プロだが)まだ中学生なんだから”
とつい思ってしまう。
そして最後に一言、AbemaTVは、この対戦を全て生中継してくれた。
面白かった…ありがとう!