今日のお昼は面倒くさいから出前にしようか?
我が家でもたまに、こんな会話が交わされる。
お店の味が、家に居ながらにして簡単に味わえる出前は、便利なものだ。
この日本独特の文化とも言うべき「出前」が、最近めっきり少なくなっており、今や風前の灯らしい。
出前は昭和の遺物?
出前と言えば、そば・寿司・ラーメン・丼物・中華料理等が思い浮かぶ。
自分の子供時代、勿論昭和だが、近所に大衆食堂があった。
そして、風邪をひいて寝込んだ時だけ、何故か親がラーメンの出前を取ってくれた。
それがまた、滅多矢鱈に美味しかったことが思い出される。
また、家族の誰かが誕生日の時だけ、お寿司屋さんから出前を取るのが我が家のしきたりだった。
断っておくが、頻繁に出前を頼めるほど(?)裕福な家庭だったわけではない。
何かの節目や特別な時だけ、出前が頼めた気がする。
「出前」とは、子供心に「特別なもの」という認識があった。
ある意味、「憧れ」といっても良いかもしれない。
そして大人になり、自分でお金を稼げるようになると、休日などは結構頻繁に出前を頼んでいた。
昭和の世代にとって、出前は生活と切っても切り離せない存在だったのだ。
そんな「出前」だが、配達と回収にかかる手間や、労働力確保の困難さから、衰退の一途を辿っている。
出前は減っているがデリバリーは増えている
最近の出前は「デリバリー(配達)」という言葉が使われることが多いようだ。
だが、私の中でデリバリーは「ピザハット」であり「CoCo壱番屋」であり「ガスト」なのだ。
決して「カツ丼」や「ラーメン」や「ざるそば」ではない。
一番の違いは使われる「器」だろう。
「出前」には「下げ」がつきものだ。
それは、器がワンウェイ(使い捨て)ではなく、ツーウェイであることを意味する。
ツーウェイの食器は瀬戸物や漆など、高価なものが多く、洗って何度でも使われる。
しかしその為、出前先に食器を下げに行かなければならないという、いわば宅配の「再配達」と同じような手間がかかり、出前が衰退しているという一因にもなっている。
だが、ツーウェイの器を使うことによって出前の特別感が演出されることも確かだ。
それらが、デリバリーではなく、「出前が減っている」という原因なのかもしれない。
将棋の藤井四段が頼む出前は…
今、将棋のプロ棋士で、デビューから公式戦19連勝の藤井聡太四段(14歳)が大きな話題になっている。
それと共に注目されているのが、藤井四段が食事に頼む「出前」メニュー。
昨年12月、日本将棋連盟が、将棋会館で行われる公式戦対局中に敷地内から出ることを禁止した為、棋士は食事に外出することが出来なくなり、必然的に出前を頼むことが多くなった。
史上最年少棋士の藤井四段は無類の「麺好き」だそうで、先日のデビュー19連勝を賭けた一戦でも、昼食に五目焼きそば、夕食にチャーシューメンの出前を頼んだ。
出前の品が届くたびに、その様子を「勝負メシ」としてマスコミが紹介したこともあり「出前」が注目されてきている。
まとめ
これを機会に、「出前」が見直され、頼む人が増えるかもしれない?
さて、ウチもラーメンの出前を頼もうか!