厚生労働省は3月に「受動喫煙防止法案」をまとめ、今国会での成立を目指している。
飲食業界や旅館業界からは反対の声が上がっているが、政府は「東京オリンピックを見据えて」という大義名分を盾に押し切る姿勢を崩していない。
そして、どうやら煙草の次はアルコールも規制しようとしているようなのだ。
酒飲みに優しい国「日本」
以前このブログで、日本は世界でも最低レベルの「受動喫煙防止後進国」だと書いたが、実はアルコールに関しても、世界最低レベルの規制の低さだった。
世界では自販機によるアルコールの販売が禁止になったり、小売店でのアルコールの販売時間帯に制限が設けられたりしている。
また、時間帯を決めて、公共の場所での飲酒を全面禁止している国もある。
日本はどうだろう?
酒類は、コンビニのレジで「あなたは20歳以上ですか?」というパネルをタッチすれば、24時間身分証無しで簡単に変える
自販機でも簡単に買える。
それらの国と比べると、日本は随分と呑んべえに対しては寛容な国のようだ。
ただ、法的に許されている飲酒最低年齢は、日本は20歳以上と世界でも最も遅い分類に入る。
スイスなどは、州により異なるが、14歳からお酒が飲める所もある。
アルコール健康障害対策推進室とは
しかしここにきて日本でも、アルコールを規制しようとする動きが活発化し始めてきた。
2010年にWHO(世界保健機関)が「アルコールの有害な使用を減らす為の世界戦略」を採択したことを受けて、2014年に「アルコール健康障害対策基本法」を施行。
さらに、2016年から2020年までの4ケ年計画で、アルコール健康障害対策基本計画が策定された。
同計画は内閣府の担当であったが、それを厚生労働省が引き継ぐ形で、本年4月1日の「アルコール健康障害対策推進室」の設置となった。
推進室の業務としては
・都道府県ごとのアルコール健康障害対策推進計画の策定を要請
・アルコールに関する医学的な研究の支援
・アルコールに関する正しい知識の啓蒙
等があるようだ。
アルコールは規制されるのか?
アルコール規制と聞いて真っ先に思い浮かぶのが「値上げ」だろう。
酒類の値上げ=酒税の値上げということになる。
これは残念ながら、6月1日に改正酒税法が施行されることで現実となる。
ただ、このことは以前から議論されていた案件なので、推進室が出来たからという訳ではないようだ。
では、飲み放題システムの禁止や、自販機でのアルコール販売の禁止はどうなのだろう?
これらも、現時点では特に新しい動きは無いようだ。
結局の所、アルコール健康障害対策推進室は、設置されて日が浅いということもあり、全てが手探り状態のようだ。
アルコールの規制までにはまだ先が長いというのが正しい認識かもしれない。
ただ、煙草の規制にしても、アルコールの規制にしても、世界的な流れであることは間違いない。
いつかは来るであろう「禁酒禁煙」のXデーに備えて、今から節煙節酒の努力くらいはしておいてもよいのかもしれない。