自民党の山東昭子さん(受動喫煙防止議員連盟会長)が、官房長官に「たばこ1箱の価格を1000円以上に引き上げるよう申し入れた」らしい。
実現すれば、喫煙者にとってかなりキツイことになるだろう。
さて…喫煙者が納得できる理由かどうか(ま、どんな理由でも納得出来ないだろうが)ちょっと調べてみた。
※私は、喫煙・嫌煙どちらの味方でもありません。
自民党の受動喫煙防止議員連盟会長の山東昭子元参院副議長は25日、首相官邸で菅義偉官房長官と会い、2020年の東京五輪・パラリンピックに向けた受動喫煙防止対策として、たばこ税の増税により、たばこ1箱の価格を1000円以上に引き上げるよう申し入れた。
出たばかりのニュースのようで、詳しい内容はほとんど書かれていない。
「東京五輪・パラリンピックに向けた受動喫煙防止対策として、たばこ税の増税により…」とある。
これだけでは、たばこ税を増税して「受動喫煙防止対策」になることと、オリンピックがどうつながるのか、分からない。
これを受けて、官房長官が 「いいタイミング」と応えたあたり、オリンピックはただの「こじつけ」とも取れる。
あるいは、たばこ税をオリンピックの予算にまわすという意味なのか?と思ったら…
「東京オリンピック・パラリンピックに向けて受動喫煙防止法を実現する議員連盟」という公式のサイトが見つけた。
たばこ値上げとオリンピックの関係を探してみた
「東京オリンピック・パラリンピックに向けて受動喫煙防止法を実現する議員連盟」の『設立趣旨』というのがあったので、ここ!と思う所を抜粋してみた。
…WHOとIOC(国際オリンピック委員会)は、「健康なライフスタイルに関する協定」を結んでおり、その中でタバコフリー・オリンピックを目指すことが謳われています。つまり、「スポーツの祭典であるオリンピックは、健康的な環境の中で実施されなければならず、開催都市はたばこ対策をしっかりと進めてください」ということなのです。…平成26年10月吉日各党 呼びかけ人
これを読んで、やっと受動喫煙防止とオリンピックが繋がった!
※たばこ(スモーク)フリーとは、タバコの煙のない、タバコの煙から解放された環境のこと。
さらにこの「健康なライフスタイルに関する協定」を調べてみると、こんなPDFを見つけた。
「健康なライフスタイル推進に関する世界保健機関と国際オリンピック委員会の合意」
世界保健機関(WHO)と国際オリンピック委員会(IOC)は、すべての人々に運動とスポーツを奨励し、タバコのないオリンピックを実現し、子どもの肥満を予防するために健康的なライフスタイルを奨励することを共同で行う合意に達した。※2010 年 7 月 21 日ローザンヌ 抜粋
なるほど…「タバコのないオリンピックをせよ!」ということらしい。
ただ…
議員連盟のHPは「受動喫煙防止法」の成立が目的だし、オリンピックの合意はあくまでも「タバコのないオリンピック」だ。
たばこ増税せよ!とは、もちろん、どこにも書いていない。
ここは、はっきりさせときたい。
ついでに書いておくがもう一つの「子どもの肥満を予防するために健康的なライフスタイル」は、オリンピック的にはどう捉えるのだろう?
「100キロ以上の子供はオリンピック会場に、入れない」とか?「子供を太らせたら親は税金払え」なんてことには、ならないだろうけど?
さらに調べてみると、政府はオリンピックに向けて「受動喫煙防止対策強化検討チーム」をすでに作っている。
受動喫煙防止対策強化検討チームとは
内容を見ると、第1回の会議が、今年始めに開かれている。
4つの資料があり、他国でのオリンピック開催時の対応が書かれている。(これは、厚生省のサイトにある)
・少なくとも2008年以降、日本を除く全てのオリンピック開催地及び開催予定地が罰則を伴う受動喫煙防止対策を講じている。
• 受動喫煙防止対策は、分煙ではなく屋内禁煙とするのが主流。
• 屋外であっても運動施設を規制している国は多い。
とりあえず日本も、この方法を取ればいいだけの話だ。
IOCは納得するだろう。
ここまで見ても…増税は必要ない、関係ないような気がするが?
受動喫煙対策は、あっていいと思う、賛成だ。
でも、煙草の値上げ(増税)が、どれほどの受動喫煙対策になるのか、が見えてこない。
ちなみに政府が「受動喫煙防止対策強化検討チーム」を作っているにも関わらず「東京オリンピック・パラリンピックに向けて受動喫煙防止法を実現する議員連盟」という組織もあるわけで…なんでダブってるわけ?
と思ったら…あ、一方は、法律を作りたい組織か…
さらに「東京オリンピック・パラリンピックに向けて受動喫煙防止法を実現する議員連盟」のHP(開設は2014年11月10日)の役員人事を見ると…
会長は尾辻秀久さん(自民党)だ。
ここには山東昭子さんの名前はない…。
ということは山東さんは、また、別の連盟なのか?
このホームページ、顧問は江田五月さんは(民主党)のままだし…
更新もあまりされていない感じだ。
呼びかけ人ってなんだ?役員は決まっているのに?
イマイチよくわからないサイトだ。
ということは、このサイト(受動喫煙防止法を実現する議員連盟)には山東昭子さんは関係ないのかもしれない…
私の勘違いだったか?
確かにタバコの値段をあげるのは、喫煙者の数を減らすきっかけにはなるかもしれない。
きっかけにはなっても少し減るだけ、かもしれない。
でもゼロには、ならないだろうし、受動喫煙もゼロにはならない。
「タバコの価格が上がったことで禁煙する人は、初期の増税で辞められているはず」と主張する学者もいるらしい。
私がいつも思うのは、
国が「タバコは体に悪い」と言ってるのに、取っている対策は増税だけ。
国は税金が入ればそれでいいのか?といいたくなるのだ。
それがちょっと気に入らない。
なぜ1000円なのか?
700円では、いけないのか?
以前の値上げではどうだったのか?
1000円にしたら本当に受動喫煙が減るのか?
喫煙者の肩身が目に見えて、狭くなっている。
にもかかわらず、煙草の税収は、毎年伸びているらしい。※後述
それでも「(オリンピックにかこつけて)もっとたばこ税を増やせ!」と、私には聞こえる…。
少なくとも今の私の生活のテリトリーの中では、分煙や禁煙のおかげで、受動喫煙の被害を意識したことがない。
喫煙者の友人もちゃんとマナーを守ってくれている。
そんな友人にも、このとばっちりが行くのかなと、このニュースを聞いて、ふと思ったりもする。
国は喫煙者がいる限り、煙草の税金を上げ続けるのだろうな…。
たばこの税負担内訳
たばこの税負担率は約6割。
・国たばこ税…25%が都道府県や市町村の地方交付税
・地方たばこ税…地方に収めるお金
これ、ダブってないか?
・たばこ特別税…一般会計
・消費税…一般会計
これもダブってないか?
と、4種類の税金が含まれている。
この使いみち…
「よくわからない」という。
呆れた話だが日本の経済は、これで成り立っている。
で、昨年のたばこの税収は2兆2759億円で、前年度より759億円増えた、らしい。
ある意味、喫煙者さんに、感謝してもいいのかもしれない気がしてきた。
参考サイト:東京オリンピック・パラリンピックに向けて 受動喫煙防止法を実現する議員連盟
参考サイト:受動喫煙防止対策強化検討チーム