なんで切手は左上に貼るの?
11月6日放送のNHK「チコちゃんに叱られる!」。
ゲストは山崎育三郎と榊原郁恵。
「筆まめで素敵な大人」と言う事で岡村が手をあげる。
愛ちゃん(キャスター)が封筒と切手を岡村の目の前に置いた。
チコちゃんに「切手を貼ってください」と言われた岡村は、切手を封筒の左上に貼った。
それを確認したチコちゃん「なんで切手は左上に貼るの?」と聞く。
岡村は「なんか、どうしても右から書いていく。ここに左側に余白が出る。必然と貼りなさいよっていう…書き出しがここだから」と答える。
それを聞いたチコちゃん「じゃぁ、封筒をあけてください」という。
いつもと違う展開にこわがりながら岡村が自分で切手をはった封筒を開けると中から「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と書かれた手紙が出てくる。
岡村は「チコちゃん、こんなパターンもあるんですか?」と笑う。
◯チコちゃんの答え
⇒切手が左上に貼られているのは、そこがイギリス人が見つけたべスポジだったから。
左上は消印が押しやすいベストポジション
詳しく教えてくれるのは、郵便の歴史について詳しい郵政博物館の藤本栄助館長。
藤本さんは「切手が左上に貼られているのは、そこがイギリス人が見つけた切手を貼るベストポジション、消印に由来している」と言う。
「消印」とは切手が使用済みであることを示すハンコの事。
再利用を防ぐために必ず切手の部分にかかるように押される。
1870年ごろ、世界で最先端の郵便事業を行っていたイギリスをはじめ、ヨーロッパの郵便局は消印を一個一個手作業で押していた。
(その映像が残っていないので)藤本さんが再現する。
郵便物(※封筒の切手の位置は右上)の束を重ねて置き、左手で抑え込んだら、1通ずつ手前に送り込み、次々と切手の場所をめがけて消印を押していく(※このやり方は右利きが前提)。
「左手で郵便物をおさえるため、左上と左下では消印が押しずらく、右下も体制が窮屈になってしまうのでやりずらい」と藤本さんは言う。
この消印を右上に押すというやり方がいつどのような形で日本に伝わったかはっきりはわからないが、明治17年には(絵を見ると)郵便物を重ね、一通ずつ手前に送るイギリスのやり方で日本も消印を押していたことが見て取れる。
「だから右上がベストポジションなのです」と先生が言うが「切手は左上じゃないんですか?」とスタッフが聞く。
西洋の郵便物は横長だが、日本の郵便物は縦長。
日本の郵便物でこれをやろうとすると横向きに比べて動作が大きくなりスペースを取る。
何よりやりずらい。
そこで切手を左上に貼って郵便物を横にし、西洋と同じ効率的な作業のスタイルを可能にした。
つまりイギリスで行われている、効率的な押印作業を日本の郵便様式に取り入れた結果、日本の切手の位置は左上になった。
日本で消印が押される実際の映像(昭和18年)を見ると、ものすごい勢いで正確に消印を押していく。
このスタイルが浸透した昭和20年代には1分間におよそ100通の消印が押せたと言われている。
ちなみに…
郵便物を横にしても切手に対して真っすぐに消印を押せるように、ハンコの向きは最初から横向きに作られた。
明治時代の終わりごろには、この消印作業のスタイルは効率的でやりやすかったので郵便局が国民に「切手は左上に貼ってください」と要請するようになった。
こうして「切手は左上に貼る」と決めたことは日本の郵便システムが進歩する基礎になったと言える。
それから150年(2021年)、の日本の郵便システムはどこまで進歩しているのか?
現在の郵便システム
そこで番組では郵便物が投かんされてから宛先の住所にとどくまでの一部始終に密着した。
◯投函
集荷の時間(30分後)の時間になると郵便物は配達人によって回収され、近くの郵便局で一つまとめられる。
運び込まれた郵便物はまず、押印機に掛けられる。
◯押印機
機械が自動で消印を押す。
1時間に郵便物3万通に消印を押すことができる。
郵便物をベルトコンベアに投入。
一度に投入すると機会が止まってしまうので、適度な数量を運ぶしくみがある。
運び込まれた郵便物は重ならないように1通ずつ流れていく。
・押印機のすごいところ
投入の際は表裏がバラバラだが、内部センサーで切手の位置を確認し、全ての郵便物の切手が同じ面をむくように整える。
この装置を通る一瞬のタイミングで機械に搭載されたAIが切手の位置を判断し、ほぼ同時にインクを噴射、消印を押す。
その時間わずか10分の1秒。(1秒間に約10通)
消印が押された郵便物は次に区分機と呼ばれる機械へ…
◯区分機
届け先の地域ごとに仕分けする機会。
郵便番号と住所の文字は(手書きで書かれた物でも)機械が一瞬で読み取ってデータ化する。
よほど文字がつぶれていない限り、ほとんどの文字を正確に読みとる。
・区分機のすごいところ
郵便物の情報を目に見えないバーコードで印字、配達先の地域ごとに仕分けをしている。
実は私たちの手元に届く郵便物には、郵便番号や住所などの情報が(仕訳した郵便局や日時など)印刷されている。
機械が読み取った住所などの情報はこの装置でバーコードに変換され印刷される。
このバーコードの情報を元に郵便物は全国各地の配送地域の棚に、間違うことなく振り分けられていく。
消印が押され目に見えないバーコードが印刷された郵便物は仕訳けられた郵便局へ運ばれる。
そしてここで、再び区分機にかけられる。
今度は郵便局員の配達ルートの順に印字されたバーコードの情報を元に機械が自動的に、郵便物を並び替えてくれる。
その後、郵便局員が配達のために郵便局を出発する。
東京から名古屋までたった一日で届られる。
※天候や交通状況などで到着が数日かかる場合もあります。
愛ちゃん情報
日本は切手は左上と説明したが横長封筒の場合は西洋と同じく右上に貼るのが望ましいとされている。(横長の封筒の場合、機械が正しく読み込むように縦長にした時左上のなる位置に貼ってほしい)
切手を左上に張っていない郵便物や宛先の文字がつぶれて読みずらい場合、はみ出している郵便物は機械が読み取ることができない。
郵便局員が手作業で消印を押したり、郵便番号を手入力し、バーコードを印字する。
(なので)切手は左上、字はできるだけ丁寧に書いて欲しい…とのこと。
※11月6日放送NHK「チコちゃんに叱られる!」参考・参照