毎年恒例のノーベル賞受賞者が、10月から順次発表されるが、一足先に「イグ・ノーベル賞」の受賞者が発表された。
今年は京都繊維工業大学の村上久助准教授らが「動力学賞」に選ばれた。
日本人の受賞はこれで15年連続となる!
イグ・ノーベル賞とは
このブログでも以前紹介したが、
https://www.takumi-inv.com/ig-nobel-prize
改めて復習しておこう。
イグ・ノーベル賞とは、1991年にユーモア系科学雑誌の編集長だった「マーク・エイブラハムズ」によって創設された賞で、「人々を笑わせ、考えさせた業績」に与えられるものである。
イグ・ノーベルの語源は、ノーベル(Nobel)に否定を表すイグ(Ig)を加え「不名誉な、恥ずべき、不誠実な」という意味の英語の形容詞イグノーブル(Ignoble)にかけた造語の「Ig Nobel」からきており、
言うまでなく「ノーベル賞」のパロディーである。
受賞部門
毎年10前後の部門が賞に選ばれるが、本家(ノーベル賞)と同じカテゴリーの他に、「生物学賞」「心理学賞」「昆虫学賞」「動力学賞」等々、本家には無い賞も随時追加されている。
授賞式
授賞式はハーバード大学のサンダーズシアターで行われる。
受賞者は一本の長いロープにつかまり、一列になって入場するが、これも引率されている幼稚園児のパロディである。
受賞者の旅費と滞在費は全て自己負担で、受賞の際の講演では聴衆から「笑い」を取ることが要求されている。
受賞者に渡される賞状は、コピー用紙にプリントされたもので、これに選考委員のサインがある。賞金は原則としてゼロだが、業績にちなんだ副賞が送られる。
「ミス・スウィーティー・プー」
講演は60秒の制限時間が決められており、それを過ぎると「ミス・スウィーティー・プー」と呼ばれる8才の少女(必ず)が登場し「もうやめて、私は退屈なの!」と連呼する。
講演を続けたければ、この少女に贈り物を渡して買収すれば続ける事が出来るが、たまに買収が効かず贈り物だけ持ち去られてしまうこともある。
何故8才の少女なのかというと、「8才の少女に罵られる事が一番ダメージが大きい」という、これも立派な?研究結果に基づく理由で講演を制止するのは必ず8才の少女と決められている。
「動力学賞」に日本人が選ばれる
今年度は、京都繊維大学の村上久助准教授(集団行動科学)らが「動力学賞」に選ばれた。
受賞理由は「歩行者同士が時には衝突する事がある理由を明らかにする実験を実施」して検証したからだそう。
歩行者同士が時には衝突する事がある理由を明らかにする実験とは
・村上さんらはまず、向かい合った大学生ら27人ずつが、幅3メートルの通路を10メートル歩いてすれ違う様子を観察した。
普通に歩くと、互いの進行方向ごとにまっすぐなレーンができ、平均しで秒速約130cmで行き交った。
これに対して、先頭集団の3人にスマホを持たせ、1桁の足し算をしながら歩かせると、本人や周囲の人は、ぶつかりそうになるのを避けるために急に向きを変えるなどしてレーンは蛇行し、歩く速度も同120cmに下がった。
歩行者の動きを解析すると、歩きスマホをした人の他、向き合う人や離れていた人でも急ターンする様子がみられた。
これによって歩きスマホの人の視線が、本人や周囲の人に影響する可能性を突き止めたという。(※「朝日新聞デジタル版」参照)
日本人は「イグ・ノーベル賞」に強い?
イグ・ノーベル賞が創立されて今年で30年(30回)となるが、日本人が受賞したのは計24回(同年度の複数部門受賞は1回とみなす)、なんと確率80%だ。
単純比較は出来ないが、本家のノーベル賞を同様の基準で計算してみると、ノーベル賞120年の歴史の中で日本人(受賞時日本国籍のみ)が受賞した年は19年。
確率は約16%となる。
いかに日本人が「イグ・ノーベル賞」に強いかが解る。
そして受賞は、今年で連続15年となる。
連続受賞記録が今後何年続くか、来年以降がまた楽しみだ!