この時期は、梅雨前線の影響で雨の日が多く憂鬱になりがち…
でもなんで憂鬱になるのか…なんて考えたことはなかったが、それなりに理由があるらしい…
7月3日の「チコちゃんに叱られる!」のゲストは堀田茜、と野々村真(オリジナルメンバー)。
チコちゃんに「この中で一番、憂鬱な表情も素敵な大人ってだあれ?」と聞かれ、ゲスト2人は憂鬱な表情をする。それを見ていた岡村「…堀田さんで!」と堀田を指名する。
なんで空がドンヨリだと憂鬱になるの?
朝起きてすごく天気がいいと爽快になるが、空がどんよりしていると気分もドンヨリする。「…なんで?空がドンヨリだと憂鬱になるの?」と聞かれた堀田「人間も自然の一部…分子レベルで天気に左右される」と答えるが、叱られる。だが堀田は「うれしい!怒られた!」と喜ぶ。
○チコちゃんの答え
⇒空がドンヨリだと憂鬱になるのは現代人が働き者だから
遺伝情報と天気の関係
詳しく教えてくれるのは、明治大学で進化心理学を研究している情報コミュニケーション学部石川幹人教授。
先生は「天気の悪い日に憂鬱な気分になる理由を探るには今からおよそ30万年前までにさかのぼる必要がある」と言う。
今からおよそ30万年前アフリカで誕生した人類の祖先ホモ・サピエンス。
狩りで獲物を捕まえたり、木の実を拾ったり、と食料を命がけで調達しながら、氷河期を乗り越え少しずつ人口を増やしていった。
しかし氷河期のピークを迎えたおよそ7万年前、食料が減ってしまったため一部の人々は、アジアやヨーロッパなど世界中へと散らばり、それまでとは違う環境で生き残らなければならなくなった。
生き残るための遺伝情報とは
ここで重要になってくるのがどんな遺伝情報を持っている人が生き残れるか、なんです。その頃の人間が持つ遺伝情報について天気に関係する特徴を考えて、大きく3つのタイプに分けて考えてみる。
○Aタイプ=晴れていると活発に行動し、曇りや雨だと活動せず、お休みモードになる遺伝情報を持った晴れタイプ。
○Bタイプ=晴れても天気が悪くても活動的なタイプ
○Cタイプ=晴れの日よりも曇りや雨の方が活動的なタイプ。
この3タイプの中で、どのタイプが一番生き残れるか?
・晴れの日に借りに行くAとBのタイプ
晴れの日は獲物が見つかりやすくたくさんの食糧を確保でき生き残れるので子孫を多く残すことができる。
・晴れの日に借りに行かないCタイプ
効率よく食べ物を確保できず、飢え死にしてしまう可能性がある
そして
・天気の悪い日も雁の出掛けるBタイプ
飢え死には免れたとしても雨の日は体が冷えて病気になったり視界や足元が悪く事故死のリスクが高まったりして、Aタイプほど子孫を多く残すことはできない。
「食べ物を多くとる、一方危険も回避する、そのような遺伝情報を持っているAタイプの人がより多く生存競争を勝ち抜けるという事になる。何万年もの時を経て、その割合が増え、現代人はその遺伝情報を受け継ぐ人が多い」と先生は言う。
現代人(生き残ったAタイプ)の身体のしくみ
天気の悪い日は休むことで、生き残ったAタイプ、つまり現代人の多くは、体の中でどのような仕組みが働いているのだろうか?
「おそらく自立神経が関係していると思う」と先生。
自律神経の働きで晴れた日は活動的で雨の日はリラックスする
そこで自立神経のスペシャリスト、順天堂大学医学部の小林弘幸教授に聞いてみた。
自立神経と言うのは、ほとんどの臓器や血流をコントロールしている。自律神経の中には交感神経(活動的)、と副交感神経(リラックス)がある。
○晴れ=交感神経が活発
⇒晴れている時にはあったかい、明るい、交感神経が活発になって心拍数をあげて活動力を上げる。今動く時だというような状況になる。
○雨や天気が悪い=副交感神経が活力を落とす
⇒雨の日とか天気が悪い時は、気圧が下がって、呼吸が浅くなって、そうすると副交感神経と言うリラックスする神経が上がってきて心拍数を下げて活力を落とす。
このように現代人の多くは、自律神経の働きで晴れた日は活動的で雨の日はリラックスしている。
憂鬱になってしまう理由とは
あれ?雨の日はリラックス?…憂鬱とリラックスは違う。
実は憂鬱になってしまうきっかけになったのが、18世紀後半の産業革命。
産業革命以前の労働は農業や漁業が中心だったので晴れの日は働いて雨の日は休むというのが一般的だった。
現代人は働き者
しかし産業革命によって現代人は天気に関係なく一年中働く「働き者」になってしまった。
空がドンヨリしていると遺伝情報に基づいて体はリラックスモードなのに働かねばとイメージで憂鬱な気分になってしまう。(現代人は無理をしているのかもしれません…)
「働き方改革がすすめられている今だからこそ雨の日は休んでもよいとしてもよいのではないでしょうか」と先生は言う。
愛ちゃん情報
雨や曇りの日の方が好きな人もいるが、先生によると、雨が降っても食べ物が取れる地域に長く生活していた人の子孫は「雨の日は休め」と言う遺伝情報がなくなっていたため、雨や曇りの日でも憂鬱になることが少ない。
雨の日にいい思いをした、などの体験を重ねていくと雨の日の方が好きになることがある。
※7月3日NHK「チコちゃんに叱られる!」より参照・抜粋