今、子供達の勉強道具、「鉛筆」に変化が起きている。
「HBから2B へ」
と言われても、何の事かピンと来ないだろう。
答えは、「鉛筆の芯の硬さ」だ。
そしてそれはどうやら、子供達の握力の低下に原因があるようだ。
子供達の握力低下~HB→2Bへ
既にご存知の方も多いと思うが、鉛筆の芯の濃さと硬さについておさらいしておこう。
鉛筆の芯の濃さと硬さ
鉛筆の芯は黒鉛と粘土で出来ており、その配合割合によって色々な濃さと硬さを作り出している。
その濃さと硬さを表す為に、鉛筆には「H」「F」「B」の記号が付けられている。
それぞれ
H → Hard ハード・硬い
B → Black ブラック・黒い
F → Firm ファーム・しっかりした
の意味で、一番薄く硬い「10H」から一番濃く柔らかい「10B」まで22種類ある。
10H~H・F・HB・B~10Bの22種類だ。
「F」はHとHBの丁度中間にあたる。
小学生の鉛筆事情
ある学校の調査によると、小学1年生では約87%が、6年生では約70%が「2B」の鉛筆を使用していたそうだ。
鉛筆メーカーの売り上げでも1999年には「HB」が43%、「2B」が22%だったのに対し、2006年には、「2B」が50%以上と逆転している。
学校側も、新一年生には「2B」を推奨しているとの事だ。
その理由として、「子供達の筆圧」が弱くなっている事が挙げられるという。
筆圧が弱いのではっきりした文字を書けるように、濃い鉛筆を使う必要があるのだ。
実際の数字で見てみよう。
国の体力運動能力調査によると、11歳の男女握力平均は
1990年で男子21.6㎏、女子19.9㎏だったのに対し、2019年には男子19.4㎏女子19.2㎏と、特に男子が大きく低下している。
この握力の低下、すなわち筆圧の低下こそが、HB →2B へシフトした大きな要因なのだ。
手を使わない子供達
握力が無い子供達には、共通する「苦手な作業」があるという。
・箸を上手に使う
・雑巾を絞る
・紐を結ぶ
・ハサミを使う
等だ。
なるほど、昨今の子供達は「雑巾」ではなく「モップ」を使う。
靴の紐は「紐」ではなく「マジックテープ」になっている。
また、「箸の使い方(持ち方)」も下手だ。
そして今の子供達は、昔ほど外では遊ばず、家の中でゲームやスマホばかり見ている。
きっと得意な作業は「キーボード入力」と「マウス操作」と「オンラインゲーム」なのだろう。
「手を使う作業」「握力を必要とする作業」が苦手な子供達。
筆圧が下がり、「2B」を使う様になるのは必然か・・・。
まとめ
因みに、自分が小学生の頃は「HB」派だった。
周りも殆どが「HB」だったと記憶している。
そして、鉛筆の芯はナイフで削って尖らしたものだ。
でもパソコン(当時はそんなものは無いが)のプログラミングは出来なかった。
昔が良いとか今が悪いとか言う気は無いが、これが時代の流れというものなのだろうな・・・。