道端などで静かにたたずんでいる地蔵様は、実はあの怖い神様だった。
さてその正体とは?
今日の「チコちゃんに叱られる!」は放送100回記念の拡大版。
テーマは「夏空の下のディスタンス ぼーっとしてる間にもう100回スペシャル!?」だ。
お地蔵様って誰?
チコちゃんが「この中(岡村隆史、ゲストの笑福亭鶴瓶と天海祐希)、で一番困った人を放っておけない素敵な大人ってだあれ?」と聞くと岡村が天海を指名する。
チコちゃんが「お地蔵さんって誰?」と聞く。天海は「だれ?…もともと人間だった方が亡くなって、みんながおまつりする…あれ?…(もともと)人だったような気がする感じかな?」と自信なさげに答える。
…が、チコちゃんに「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と言われてしまう。
〇チコちゃんの答え
⇒お地蔵さんは閻魔大王!
…と言うとみんなが「えー!」と驚く。
お地蔵さんは閻魔大王だった
詳しく教えてくれるのは、(そういえばお地蔵さんにそっくりな)曹洞宗宝林寺の千葉公慈住職。
「お地蔵さんは閻魔大王の事だと言われている」という。
「え~、地獄にいる怖い顔のですか?」とスタッフが聞くと、住職はうなずき「2,500年前に亡くなったお釈迦様に代わり、私たちに寄り添うために戻ってこられたのがお地蔵様。そのお地蔵様が閻魔大王の事だと信じられるようになった」という。
仏教学について書かれた本「望月仏教大辞典」の、あの世で地獄行きか極楽行きかの審判の事が書かれた「十王」という項目に「閻魔王は地蔵菩薩」という記述があるそうだ。
「お地蔵さん」とは
そもそも皆さんが「お地蔵さん」と呼んでいるのは地蔵菩薩の事。
「地蔵」はサンスクリット語でインドの大地の恵みをつかさどる神のこと。
「菩薩」というのは仏教で悟りを得るために修行をする者と言う意味。
つまりインドの大地の恵をつかさどる神が、仏教に取り入れられて「地蔵菩薩」が誕生した。
閻魔大王が重なった理由
インドで大地の恵の神から全ての人を救う修行を課された地蔵菩薩は、やがて中国へ仏教が渡ると、閻魔大王を重ね合わされるようになった、といわれている。
全ての人を救う地蔵菩薩が、あの世でも人々を救ってくれると考えられていた。
すると次第にあの世にいる怖い神様の閻魔大王と同一視されるようになったと考えられる。
「そこにはと~っても深い歴史があるんです」と住職がいう。
地蔵菩薩像霊験記(宋時代にまとめられた説話集の中の地蔵菩薩信仰についての経典)そこに記された地蔵菩薩が閻魔大王と示す深い物語とは…
と、いう事で「まんが中国昔ばなし」が始まった。
「まんが中国昔ばなし」閻魔大王とお地蔵さん
※ナレーション:清水ミチコ
昔々中国の四川省で知事をしている郭除安は、みんなから尊敬される立派な人物じゃったが、仏様を信じてなかったそうな。
ある時、郭除安は大変な熱病にかかってしまい、なかなか治らなかった。
信心深い郭除安の妻は、夫の回復を願って一日中地蔵菩薩を作っておったそうな。
「(大竹しのぶの声マネで)お地蔵様、どうか夫の病気を治してください」
しかし郭除安はそんな妻に「仏に祈ったとて治るはずないよ。全く無駄なことを…」そしてとうとう郭除安は死んでしまったそうな。
あれ?ここはどこだ?確か私は死んでしまったはずだが…
郭除安が目を覚ますとそこには長蛇の列がそして列の先にいたのは閻魔大王!
“なんてことだ、仏を信じてこなかった自分はきっと地獄行きに違いない”
ちらりと郭除安を見た閻魔大王は恐ろしい形相でかけよった。
「(美輪明宏の声マネで)あら、あなたお名前は?」
「郭除安でございます」
閻魔大王はノートを探すが「そんな名前はどこにも書いてないわよ。どうしてこちらにいらっしゃったの?あなたはまだこちらに来てはいけませんのよ。よろしくて?」と言う。
「え~?」驚いた郭除安。
「とっとと現世にお帰りなさい」と閻魔大王に現世の入り口まで送ってもらうことになった郭除安は最後に聞いてみた。
「どうして私を助けてくれたのですか?」郭除安が訪ねた次の瞬間そこに現れたのは、お地蔵さん。
「(平野レミの声マネで)えっとさぁ、わたしはさぁ、ここでは閻魔大王として人をさばいちゃってるんだけど、実は現世ではさぁ、お地蔵さんなんだよね。だからあんたの奥さんが作ったお地蔵さんからあんたのこと見てたのよねぇ。本当にいい奥さんよねェ。感謝しなさいよ!」そういうと、お地蔵さんは光に包まれ消えていったそうな。
そして再び郭除安が目を覚ますとそこには泣き崩れる妻の姿が。
「あなた!生きて帰ってこられたんですね」
「お前は命の恩人だ。お地蔵さんが私を地獄行きから救ってくれたんだ。ありがとう」
(その場にいた子供たち)「(えなりかずきの声マネ)やった、やった!奇跡だ。こうなったらみんなで頑張ってお地蔵さんをたくさん作ろう!」
それから二人はいくつものお地蔵さんを作り、人々にもその信仰を広めながら幸せに暮らしたそうじゃ。
めでたし、めでたし…
もともとヒンズー教の「裁きの神だった閻魔大王」が仏教で「救いの神」として取り入れられ、その救いの姿が全ての人を救う「地蔵菩薩の化身」-と重ね合わされるようになった。
日本にも伝わる
この思想は平安時代の末期に日本にも伝わった。
現世だけでなく、地獄でも人々を救うとされるお地蔵さんは、当時閻魔大王として人々の行いを監視し裁くという一面も持っている。
住職は「閻魔大王の前では嘘がつけないと言いますけれども、いつもお地蔵さんの姿でどんな時でもみているぞ!とまぁ、いうなれば『防犯カメラ』みたいなものですかね」という。
愛ちゃん情報
お地蔵さんは、平安時代日本に伝わってから様々な宗派の仏教や全国各地の民間信仰と結びついてきた。
仏教においてお地蔵さんはお釈迦様と考えられているが、日本で閻魔大王がお地蔵さんと広まった理由は恐ろしい閻魔大王が人々の「道徳心を育てる」と信じられていたため。
※8月22日「チコちゃんに叱られる!」参考・参照
まとめ
道端などに静かにたたずんでいる石造のお坊さんと、どちらかというとキラキラな菩薩のイメージとつながらない。そして何より閻魔大王だったと聞くとやはり驚いてしまう。