甲羅は、亀以外、持ってないらしい。
しかも、皮膚ではないらしい。
じゃぁ、甲羅って、一体何なの?
…って、やっぱり知りたくなるねぇ。
6月19日「チコちゃんに叱られる!」
2つ目の問題は「亀の甲羅」について、だ。
亀の甲羅って何?
「この中(岡村隆史、石川さゆり、ウエンツ瑛士)で一番、生き物を大切に飼っていそうな優しい大人ってだあれ?」と聞かれ、「ここはやはりさゆりさんじゃないですか?こうなってくると」と岡村が石川を指名する。
石川が飼っているのは「犬のまる君と、猫のしょうちゃんとちゃいちゃんと亀」だそうだ。
チコちゃんに亀の特徴を聞かれ、石川は「ゆっくり歩く、甲羅があります」と答えたところで「あれは何?亀の甲羅ってなんなの?」と聞かれる。石川は「えー!」と声を挙げるも「…甲羅は…鎧みたいなもの、自分の身を守る…」と答える。
するとさらに「そもそも何ですか?人間で言うと?」と聞かれ「身体、ボディ」というが「さゆりちゃん、ボーっと生きてんじゃねーよ!」と言われる。
〇チコちゃんの答え
⇒亀の甲羅は、ろっ骨
11年前、亀の甲羅の発生過程を解明した
詳しく教えてくれるのは、兵庫県理化学研究所主任研究員&チームリーダーの
亀の甲羅の進化の秘密を突き止めた研究チームのリーダー倉谷茂さん。
実は亀の甲羅が何なのかについては長い間、謎だった。
これまで亀の甲羅の発生過程については「ろっ骨説」の他に「皮膚が固くなったもの等の説」があったが、長年謎に包まれていた。
しかし…
「11年前に私たちの研究グループがその謎を突き止めました」と先生がいう。
カメの甲羅が出来るまで
亀のろっ骨が、甲羅になる様子をCGで再現したVTRが流れた。
※映像提供RIKEN 理化学研究所 形態進化研究室
そのCGを見ると…
ろっ骨は、お腹側に向かって伸びずに、
身体の下の部分が内側に折り込むと同時に、
肩甲骨がろっ骨の下に引き込まれ、
広がり、甲羅の形に変化した。
(先生は亀の骨を赤く示した写真も見せてくれたが、ろっ骨が甲羅の形に広がった傘の骨のように見えた)このような事から亀の甲羅はろっ骨という事が出来るという。
一方、人間を含む哺乳類や鳥類、亀以外の爬虫類のろっ骨は、背骨からお腹側に平行に伸びている。
アルマジロは…
亀に似た動物としてアルマジロという哺乳類がいる。
やはり甲羅を持っているように見えるがあれは皮膚が固くなっただけのもの。
アルマジロの骨格標本を見てみると、ろっ骨は背骨からお腹側に伸び、その上に、鎧のようなものが乗っている。つまりアルマジロの鎧は骨ではなく皮膚。
一方、亀は、背骨が甲羅に添って伸び、背骨から横に広がって伸びた肋骨が甲羅と一体化しているように見える。
つまり、亀の甲羅は皮膚ではなく骨で出来ている。
今、地球上にいる生き物でカメだけが、ろっ骨を横に広げて甲羅を作っている、非常に珍しい動物だと言える。
なぜ、カメだけがろっ骨が甲羅になったのか?
では、どうして亀だけがろっ骨が甲羅になったのか?
先生がスタッフに「ちなみに何のために甲羅を持っていると思いますか?」と聞いた。
「身体を守るため」とスタッフが答える。
先生は「普通はそう思う。でも最初はそうでなかったかもしれません。ひょっとしたら泳ぎやすくするためだったんじゃないか、というのが私たちの考え方です」という。
亀はお腹にも甲羅がある、その理由は…
亀の祖先は海から誕生した生き物。
最古の亀と言われる、およそ2億2000万年前に生息していたとされる「オドントリケス」の化石を見ると、ろっ骨の下のお腹側に甲羅のようなものがあるのがわかる。
亀はお腹にも甲羅がある。
実は発生の上でも進歩の上でも、お腹から甲羅が出来上がってくる。
人間には左右のろっ骨の間に胸骨という骨があるが、亀の祖先はまず「胸骨」の代わりにある「腹骨」という骨が、腹甲(お腹側の甲羅)へと進化した。
サーフボードを考えると、わかる。
硬い板があると水の中を滑るようにうまく動くことができる。
…ここで2体のフィギアを使って水中での動きを検証。
まず亀の祖先に似たフィギアをそのまま水中に入れて見ると…
バランスを崩しながら沈んでいく。
次にお腹側に甲羅のようなボードを付けてみると…
先ほどより水平を保ちながらバランスよく沈んでいく。
なので…
亀の甲羅が出来たその第一歩は、海の中でどのように泳ぐのかという課題に適応したという可能性は確かにある。
さらに水の中をスムーズに(抵抗を減らして)滑った。そうなるともう背中も同じ様にソリッドにしてしまってかまわない。
亀の甲羅と言えば身体をしまって防御するためにあるように思えるが、それは2次的に役に立っただけであり、最初は泳ぎやすくするためにろっ骨から進化したというのだ。
つまりカメは水中で動きやすくするために一本一本のろっ骨を次第に太くさせ、やがてろっ骨どうしをくっつけて背中側にも大きな甲羅を作ったと考えられている。
そういう訳で、カメは背中とお腹に骨の板を作り出して、全体を一枚のサーフボードのようにして、すいすいと安定して泳げるように進化したと考えている。
亀だけ特殊な進化を遂げた理由は…
「なぜ亀だけ特殊な進化を遂げたのですか?」とスタッフが聞く。
先生は「そこは謎として残っているところで、なぜカメだけがあんな甲羅を作ったのか、それを突き止めるにはまだまだ研究しなければならない事が残っている」と答えた。
これだけ亀の研究をしている先生だが、亀はあまり好きではないらしい。
むしろ、昆虫が好きで、採集して、標本にしているという。
特に蝶より蛾の方が好き(イボタガの仲間)だという。
「非常に見事な縞模様を持った美しい蛾。蛾は好きだからこそあえて研究できないという…恋愛に近いものが…私は苦手ですけどね」と笑った。
まとめ
最後に先生が「チコちゃんが気になっているカメは?」と聞く。
チコちゃんの答えは「二日目」そして語り始めた。
「うちがこうてるカメがね、昨日食べへんかったのに、今日はカレーをバクバク食べるんですわ、なんでやと思います?そらアンタ、二日目(2カメ)やったんやろ」(※カレーという落語らしい)
さらに石川が「うちのカメはリクガメで泳げないけど、それでも同じなんですかね?」と聞く。
チコちゃんは「昔は泳いでいて陸に上がったカメだから…じゃないでしょうかね」と答えた。
※6月19日「チコちゃんに叱られる!」参照・抜粋