鉄がサビるのは「鉄がサビたがっている」からで、それは、例えば『相思相愛の二人が無理やり離されても、元のさやに納まるように鉄も酸素とくっついて元の姿に戻りたい』からだそうだ。
なるほど…
8月3日の「チコちゃんに叱られる!」の最後の質問は「サビ」についてだ。
チコちゃんが「この中(岡村隆史・潮田玲子・伊東四朗)で一番いつまでもピカピカでサビない大人ってだあれ?」と聞くと「ちょっとここ僕行かしてもらってもいいですか」と岡村が自分で立候補した。
「サビない岡村!」とチコちゃんが言うと岡村は「ちょっとサビてきてますが、気持ちはサビないでいきたいなと思います」と、いう。
鉄がサビるのはなぜ?
自転車など家の外に置いておくと鉄の部分が雨に濡れてサビるが…
チコちゃんが岡村に「なんで鉄はサビるの?」と聞く。
岡村は「これはすごい難しい。元素記号とかを把握してないとダメなやつです。…Fe!鉄!…やっぱり鉄も加工されているじゃないですか。加工される段階であえてサビる成分が入れられているじゃないですか?もし鉄がサビなかったりしたらそのままずーっとある状態じゃないですか。」と答えると「サビない方がいいんじゃないの?」と言われ…岡村も「まあね」と言ってしまう。
でも「やっぱり、鉄はあえてサビるように加工がされている!」というと「ボーっと生きてんじゃねーよ。」と言われてしまう。
◯チコちゃんの答え
⇒鉄がサビるのはサビたがっているから
それを聞いた岡村「…自転車がサビたがってる?それは自転車屋さんの策略ではないんですか?買っていただくための…」という。
鉄が自然界でサビるのは当たり前
詳しく教えてくれるのは、鉄とサビの関係を熟知されている、物質・材料研究機構特別研究員の篠原正さん。(篠原さんは、海に囲まれサビの被害が多い東南アジアで、サビに関する対策を伝え「サビの神様」とたたえられている)
篠原さんは「そもそも鉄が自然界でサビるのは当たり前で、鉄がサビたがっている。普段私たちが使っている鉄は、加工された物なので、元の姿に戻ろうとしている」と言って、机の引き出しから取り出したのは、表面が赤茶色の石(鉄鉱石=鉄の材料になる石)で、「自然界ではこのような形で存在しているんです」という。
赤い茶色の部分が鉄の本来の姿、つまり自然界で鉄はサビている。サビというのは鉄が酸素と結びついた酸化鉄のこと。この石に含まれている鉄も、(赤茶色なのは)鉄と酸素と結びついてサビている状態だという。
しかし、普段目にする鉄は、製鉄所で加工されてピカピカ…。
先生によると、このように加工された物質は元の自然な状態に戻ろうとする性質があるそうだ。
鉄を作る工程
…という事で、鉄を作る工程を製鉄所(千葉)で見せてもらう事にした。
「あちらをご覧ください」と言われて目の前にそびえたつのは製鉄所のシンボルともいえる高炉。
製鉄所のなかでもひときわ目立つとても高い建造物で、高さは100m。
高炉の中で鉄鉱石を溶かして鉄を取り出す
この中に、鉄鉱石を鉄にする高さおよそ50mの高炉があり、上から鉄鉱石を落として高温で溶かして鉄を取り出す。大体2000℃近い温度になる。
岡村にもわかる「鉄ができる仕組み」
登場するのは
・酸化鉄
・炭素
・一酸化炭素
◯鉄鉱石とコークスをおよ2000度の50mの高炉の中に落とす
(コークス=石炭を材料とした炭素の塊。最近では木炭より高温で長く燃えるためバーベキューなどでも使われている)
なぜ50mもの高さが必要なのか?
・高炉の中は下から超高温の酸素ガスが吹きあがっている。
・上から落とされた鉄鉱石とコークスは熱風を受けながら50mを数時間かけてゆっくりと落ちていく。
・この時超高温の酸素ガスによってコークスが燃える。そしてさらにその熱で鉄鉱石が溶かされドロドロになりながら落ちていく。
鉄鉱石が溶けるまでには数時間かかるので50mもの高さが必要で、製鉄所の高炉はコークスが燃える熱を冷まさないようにするために24時間365日休むことはない。
なぜ鉄鉱石が鉄になるのか
超高温の熱によってコークスが燃える際に、酸素とコークスの炭素が結びついて一酸化炭素などの熱いガスが発生する。
一酸化炭素は、より安定した状態の二酸化炭素になろうとして、酸化鉄の酸素と結びつくため、鉄だけが残る…これが鉄ができる仕組み。
サビの正体
篠原さんは「酸素と結びついているのが自然な状態である鉄は、自然界と同じ状態に戻ろうとして酸素と結びついてサビる」という。
製鉄所で酸素と分かれた鉄は、自然な状態に戻ろうとして再び酸素と結びつき「酸化鉄」になる
これがサビの正体。
高炉の中で発生したガスは上空に抜け、鉄だけのドロドロになって高炉の下に落ちる。
転炉
続いて…転炉と呼ばれる工程で強く加工しやすい鉄に換えられる。
解けた状態で運ばれてきた鉄は、この工程で鋳型に流し込んで冷やし固めらる。さらにこの工場ではローラーで薄く伸ばされ厚さ約1㎜の薄い鉄板になる。
そして鉄が酸素に触れてサビないように、仕上げにコーティングをして鉄板を丸めると直径160㎝ほど(重さ10t)の巨大なバームクーヘンのような鉄が出来上がる。
完成した鉄は自動車や家電製品と言ったものに形を変えて、暮しを支えている。
鉄は濡れるとサビやすいのはなぜ?
鉄が濡れるとサビやすいのは、なぜかという事で…実験をしてみた。
・先生が鉄の板に(水より早くサビる)塩水でチコちゃんの画を描く。
・1時間放置すると…塩水でぬれた部分がサビたため茶色い模様が浮き出てきた。
解説:鉄は水と触れると表面から溶けていく。その溶けた鉄と水の中の酸素が結びつく。
この状態で水が蒸発すると酸化鉄になる(サビになる)。
塩水の方がさびやすいのは…
塩の方が蒸発を防ぐ性質があり、その分長くとどまるので、鉄が水中の酸素と結びつくための時間が増えるから。
フッ素スプレー
お父さんが自転車等のサビ防止のため、必死になってかけているフッ素スプレー。これはフッ素の水をはじく性質を利用しサビを防いでいる。
先生は最後に「そもそも鉄が、サビるという事は例えば相思相愛の二人が無理やり離されても元のさやに納まるように鉄も酸素とくっついて元の姿に戻りたいんですね」という。
※8月3日「チコちゃんに叱られる!」参考・参照
まとめ
VTRが終わると、潮田が「自転車はサビてても『戻ったんだ~』…」と言い、岡村も「元々こんな色の自転車だったんや」と思えばいい、と言っていた。
なるほど…という空気だったが、チコちゃんは「(だからと言ってサビた自転車で)事故に繋がらないように!」とまとめた。
化学を習っていた現役時代はともかく、今は化学式さえあやふやだ。
サビは鉄が酸化するから…Fe+o=Feo(酸化鉄)だと思っていたら、答えは「サビたがっている」だった。単純だったなぁ。